2025年9月、ナスダックがSECにトークン化株式の取引承認を申請しました。アップルやテスラの株式を、ブロックチェーン上で24時間取引できる時代が、もうそこまで来ています。
そもそもトークン化株式って何がすごいの?
実際の株式をブロックチェーンにデジタルトークンとして記録する。それがトークン化株式です。配当も議決権も従来の株式と同じなのに、取引の仕組みが根本から変わります。
今までは平日の限られた時間だけ。それが24時間365日いつでも取引可能に。決済も2日後から即時に短縮。しかも0.001株単位で買えるから、高額な株も少額から始められます。
ブラックロックやフィデリティといった巨大資産運用会社も、すでにETFのトークン化に動いています。これは単なる実験じゃない、本気の変革です。
DTC(預託決済機関)のブロックチェーン導入が鍵
DTCは米国証券決済の中核。1日2兆ドル以上の証券がここで決済されています。そんなDTCがブロックチェーンを採用するということは、既存のシステムに新技術を重ねる形で、スムーズな移行が可能になるということ。
従来のCUSIPコード(株式識別番号)もそのまま使えて、投資家は従来方式とトークン化方式を選べます。スマートコントラクトで配当金も自動支払い。まったく新しいシステムを作るのではなく、今あるインフラを進化させる。だから現実的なんです。
実際に使ってみたらどんな感じだろう
朝の3時にアップル株を買って、すぐにDeFiプロトコルで担保として使える。そんな世界が実現しようとしています。
メタマスクを開いて、ナスダックのDEXにアクセス。USDCでアップルトークンを0.5個購入すれば、即座にウォレットに到着。従来なら為替手数料を計算して、注文して2日待つところが、暗号資産の取引と同じくらいシンプルになります。
ただし、スマートコントラクトのリスクは依然として存在します。ハッキングやバグの可能性、各国の税制対応の不透明さ、KYC(本人確認)とAML(マネーロンダリング防止)の体制構築など、課題は山積みです。
カストディ(資産保管)の問題をどう解決するか
誰が実際の株式を保管し、トークン発行量をどう管理するのか。この仕組みの透明性が、システム全体の信頼性を左右します。
Chainlinkのようなオラクルサービスが実際の株価をブロックチェーンに伝え、PolygonのようなLayer2ソリューションが手数料を抑える。ヨーロッパではBacked Financeがすでにトークン化株式を提供していて、Ondo FinanceはRWA(実物資産)トークン化の先頭を走っています。
伝統的金融とDeFiの境界が溶け始めている
SEC承認後は、UniswapのようなDEXでアップル株が取引でき、トークン化株式をDeFi融資の担保に使える未来が待っています。世界中の誰もが米国株にアクセスでき、プログラム可能な株式(条件付き取引、自動リバランス)が当たり前になります。
ナスダックのトークン化株式が成功すれば、私たちが知っている株式投資の概念は根本から変わります。TradFi(伝統的金融)とDeFi(分散型金融)の境界が消える日、それが真の金融革命の始まりかもしれません。
テストネットでまず練習してから本番に臨むことをお勧めします。いきなり実際の資産で始めるのではなく、各プロトコルのテストネットで十分に慣れてから使うのが安全です。
Disclaimer: 本記事は情報提供を目的としており、投資・税務・法律・会計上の助言を行うものではありません。記載内容の正確性や完全性を保証するものではなく、将来の成果を示唆するものでもありません。暗号資産への投資は価格変動が大きく、高いリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。