テスラの株価が下がる本当の理由って炭素クレジットのせいだったの?


風力発電所近くのテスラ充電ステーションで充電中の白いModel 3が整然と並ぶ光景

電気自動車が売れるほどテスラが損する不思議な仕組み


テスラの2025年第2四半期の炭素クレジット収益が半分に減ったんです。前年同期と比べてほぼ半減して、4億3900万ドルしか稼げなかったそうです。これがなぜ重要かわかりますか?テスラが稼ぐ純利益の約半分が、実は電気自動車の販売じゃなくて、この炭素クレジットから来ていたんです。


もっと驚くのは、電気自動車市場が大きくなるほどテスラが苦しくなるという構造です。ベンツやBMWのような会社は以前、テスラから炭素クレジットを買わなければならなかったんです。環境規制を満たすためには仕方なかったんですね。でも今は自分たちも電気自動車を作って売り始めました。


ステランティスという大手自動車会社があるんですが、ここがテスラの炭素クレジットの最大顧客でした。でもこの会社も今では自社で電気自動車を増やして、もうテスラにお金を払わなくてもいい状況になってしまったんです。


アメリカの政策が変わってさらに悪化した状況


トランプ政権になって環境規制を緩和し始めました。自動車会社が守らなければならない二酸化炭素排出基準を下げたんです。そうすると、わざわざ高いお金を出して炭素クレジットを買う必要がなくなったわけです。


JPモルガンのような投資銀行は、テスラの炭素クレジット収益が今後40%まで減少する可能性があると予想しています。電気自動車の購入補助金も減っていて、全体的に電気自動車市場自体が以前ほど急速に成長していません。


ヨーロッパも同じです。2025年からヨーロッパでは自動車の平均二酸化炭素排出量を93.6g/km以下に抑えなければなりません。守らないと莫大な罰金が科せられます。それで各自動車会社が必死に電気自動車を作って売り始めました。結果的にテスラから炭素クレジットを買う理由がなくなったんです。


夕暮れの風車群を背景に佇む白いテスラの電気自動車、再生可能エネルギーとEVの融合を象徴


今度は本当の実力で勝負しなければならないテスラ


炭素クレジットというのは、実はテスラにとってはタダ同然のお金でした。電気自動車を作るだけで政府がくれる一種のボーナスだったんです。2023年にはこの収益が純利益の2倍を超えるほどでした。ある四半期では、このお金がなければ赤字だったでしょう。


今テスラは本当に電気自動車そのもので稼がなければならない状況になりました。だからロボタクシーや自動運転といった新しい事業に必死になっているんです。でもこうした新事業が炭素クレジットほどの収益をすぐにもたらすかは未知数です。


投資家の立場でも不安にならざるを得ません。安定した収益源だと思っていたものが突然半分になってしまったんですから。しかもこれはテスラがどんなに努力してもどうにもならない部分なんです。政府の政策が変わったり、他の会社が電気自動車をたくさん作れば、それだけ収益が減る構造なんですから。


テスラが本当に偉大な会社なのか、これからが本当の試金石です。炭素クレジットという頼もしい収益源なしでも生き残れるのか、それともこれまでこのお金に頼って持ちこたえていただけなのか、もうすぐわかるでしょう。


テスラって電気自動車より排出権で稼いでるって知ってた?