フィリピンがビットコインで国の借金返済?20年塩漬け法案の中身

フィリピンが国の借金をビットコインで返そうという、かなり思い切った法案を出してきました。中央銀行が5年かけて1万BTCを買い集めて、20年間は売らずに持ち続ける。使うのは国債返済だけ。国がビットコインを金のように貯め込む時代が本当に来るんでしょうか。




なぜ今、国がビットコインを集めるのか


この法案を初めて見たとき、正直驚きました。価格変動の激しいビットコインを国が長期保有するなんて、どういう計算なんだろうと。


でも詳しく見てみると、それなりの狙いがあるんです。フィリピンはGDP比での債務が増え続けていて、従来の方法では限界があると判断したようです。ドルや金だけじゃなく、デジタル資産も国の資産ポートフォリオに入れてみようという実験なんです。


特に10年、20年後にはビットコインが今よりずっと高くなるという期待も込められています。もしそうなれば、将来の債務返済に大きく貢献するかもしれません。


法案の具体的な中身を見てみる


実際にどう運用するのか、ポイントをまとめました。


購入と保管の計画はこんな感じです。毎年2,000BTCずつ5年間購入して、合計1万BTCを確保。コールドストレージという、ハッキングを防ぐオフライン保管方法で分散管理します。四半期ごとに監査を実施して透明性を確保し、個人が持っているビットコインには手を出さない仕組みです。


20年間の売却制限もあります。基本的に20年間は売却禁止で、例外として国債返済のみに使用可能。緊急時には議会の承認が必要になります。


単純にビットコインを買って持っているだけじゃなく、明確なルールと監督体制を作っているのが興味深いところです。


本当にうまくいくのか、リスクは何か


ただ、良いことばかりではありません。ビットコイン準備金には無視できないリスクがいくつもあります。


まず価格変動の問題です。ビットコインは1日で10-20%動くのが普通です。国の資産がこんなジェットコースターに乗っていたら、財政計画が立てにくくなります。今日100億円の価値があっても、明日には70億円になるかもしれません。


セキュリティリスクも深刻です。コールドストレージが安全だといっても、完璧な保管方法なんてありません。プライベートキー(ビットコインウォレットのパスワードのようなもの)の管理を間違えれば、一瞬で全部失う可能性があります。内部犯罪や管理の甘さは本当に致命的です。


規制の不確実性も気になります。今は大丈夫でも、将来的に国際規制が変わったらどうなるでしょう。ビットコイン取引が制限されたり、特定国との取引が禁止される可能性もあります。


他の国々も動き始めている


フィリピンだけじゃありません。エルサルバドルはすでにビットコインを法定通貨にしていますし、アメリカでもビットコイン戦略準備金の議論が出ています。


各国がビットコインを国家資産として見始めたということは、デジタル資産がそれだけメインストリームに入ってきている証拠です。10年前には想像もできなかったことが現実になっています。


もちろんまだ実験段階です。フィリピンの法案もまだ通過していませんし、実際の施行までには多くの議論が必要でしょう。でも、こういう試み自体が暗号資産市場にとって大きな意味を持っています。


ビットコインがデジタルゴールドとして定着するのか、それとも泡と消えるのか。時間が答えを出してくれるでしょうが、国家レベルで真剣に検討が始まったのは確かです。


暗号資産を勉強している身としては、これからも注目していきたい興味深い実験です。


本記事は情報提供を目的としており、投資・税務・法律・会計上の助言を行うものではありません。記載内容の正確性や完全性を保証するものではなく、将来の成果を示唆するものでもありません。暗号資産への投資は価格変動が大きく、高いリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。


アメリカがデジタルドルを諦めた? 議会がCBDC禁止法案を可決した件