アメリカの政治イベント後にビットコインが急落、なぜ買われなかったのですか?


アメリカの政府機関閉鎖、いわゆるシャットダウンが終わり、市場の不確実性が一つ解消された直後、ビットコインは10万ドルの節目を割る急落を見せました。この出来事は、市場が短期的なニュースの好悪ではなく、アメリカの金融政策という巨大なリスクに支配されている現実を突きつけています。現在の市場で起きている下落は、過去の暴落とは少し違う種類の警戒が必要だと考えられます。


好材料より重いFRB利下げ後退の重圧


シャットダウン解除は通常、経済データの発表再開や市場の流動性改善につながるため、リスク資産にとってはポジティブな材料のはずです。しかし、実際には10万ドルの心理的な防衛ラインが崩壊し、ビットコインは9万7000ドル付近まで下落し、6ヶ月ぶりの安値をつけました。


この下落の背景にあるのは、連邦準備制度理事会、FRBの政策に対する市場の期待が崩壊したことに尽きると思います。数週間前まで高かった12月の利下げ期待は、FRBメンバーのタカ派的な発言が相次いだことで急速に後退しました。


金利が高止まりするという見通しは、ビットコインのようなリスク資産にとっては明白な逆風です。投資家は、政府機関の再開という小さな安心感よりも、FRBが次の政策でどのようなシグナルを出すのかという大きな懸念に集中している状態です。


長期保有者が動き出した、過去の弱気相場との違い


今回の下落をさらに複雑にしているのは、売り圧力の性質が変わってきている点です。単なる短期投機筋のレバレッジ解消だけでなく、長期保有者、つまり155日以上ビットコインを保有し続けたコアな投資家による売りが加速していることがデータで示されています。


この動きは、市場センチメントが非常に弱気になっている証拠であり、単なる短期的なボラティリティとして片付けられません。コアな投資家でさえも、このマクロ経済環境下でのリスク調整に動いていると見ています。


また、過去のサイクルの暴落と比較して、ビットコインと米国債利回り、特に10年物国債利回りとの相関性が高まっている点も見逃せません。利回りが4.1パーセント台まで上昇する中で、利息を生まないビットコインの魅力は低下します。これは、機関投資家の参入が進み、ビットコインが従来のウォール街の主要なアセットクラスの一つとして認識され始めた結果だとわたしは考えています。もはやビットコインは単独で動くものではなく、マクロ環境に深く組み込まれているのです。


アルトコインに波及する新しいリスク資産の性質


ビットコインの10万ドル崩壊は、市場全体のセンチメントを一気に冷やし、イーサリアムを始めとするアルトコインにも大きな波及効果をもたらしました。主要アルトコインが連鎖的に下落したのは、ビットコインが「デジタルゴールド」というよりも、金利変動に敏感な「テクノロジー株」に近いリスク資産として扱われていることを証明しています。


アメリカのオプション市場では、10万ドルを下回る水準でのプットオプション、つまり下落に備える保険の需要が急増しています。これは、機関投資家がビットコインを他の標準的なリスク資産と同じようにヘッジが必要な対象として扱っている証拠です。


結局のところ、目先の政治イベントのニュースよりも、FRBが次のFOMCでどのようなシグナルを出すのかが、価格の方向性を決めることになります。投資家としては、FRBのタカ派的なスタンスがどこまで続くのか、そしてシャットダウンの影響で発表が遅れている経済データがいつ公開されるのかに細心の注意を払うべきだと思います。


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