愛犬が壁に頭ぺったり。その仕草、脳の緊急サインを見逃してない?

自宅のリビングで壁に頭を押し付けているゴールデンレトリバーと、その様子を心配そうに見守りながらスマートフォンで撮影する東アジア系の女性。背景には、タブレットで犬の脳の画像を確認している白人女性獣医と黒人男性獣医が座っており、犬の異常な行動と医療的な介入の必要性を示唆しています。


単なる癖じゃない、ヘッドプレッシングの真実


愛犬が壁や家具に頭のてっぺんを強く押し付けているのを見て、「単なる寝癖かな」と微笑ましく感じたことはありませんか。しかし、この行動は獣医学で「ヘッドプレッシング」と呼ばれ、単なる甘えや変わった癖として済まされない、深刻な病気のサインであることが多いのです。これは、脳の機能に何らかの異常が発生していることを示す緊急信号だと認識されています。


なぜ緊急事態と見なされるのか


ヘッドプレッシングは、脳腫瘍、脳炎、または肝臓の機能が低下して毒素が脳に達する肝性脳症など、中枢神経系に問題がある場合に現れます。米国の獣医神経学の現場では、この行動を観察した場合、すぐに精密検査を推奨するのが一般的です。高齢犬では認知機能の低下が原因となることもありますが、若くても肝臓の先天的な異常(門脈体循環シャントなど)で起こる可能性があり、油断はできません。


甘えと異常を見分ける基準


愛犬が飼い主さんの膝や体にそっと頭を乗せているのは、愛情表現や安心感を求めているサインです。しかし、ヘッドプレッシングは、理由もなく、硬い物体に対して、目を閉じずに執拗に頭を押し付け続ける行動として明確に区別されます。さらに、同じ場所をぐるぐる回る旋回運動や、ふらつき、発作のような症状を伴う場合は、緊急性が非常に高いです。この行動が数分以上続いたら、すぐに注意を払うべきです。


今すぐ実行すべき3ステップの行動


このサインを見つけたら、時間を無駄にしないでください。初期対応のスピードが、愛犬の生活の質を大きく左右します。


  1. 行動の記録を残す 異常行動をしている様子をスマートフォンで動画撮影してください。診察時に、症状を正確に伝えるための最も重要な証拠となります。

  2. 専門病院で精密検査 可能な限り早く、MRIなどの高度な画像診断が可能な動物病院を訪れてください。神経系の問題は、血液検査だけでは特定できないケースが多いからです。

  3. 環境の安全確認 愛犬が誤って口にした可能性がある毒物がないか、周囲の環境を徹底的にチェックしてください。中毒も神経症状の原因の一つになり得ます。


この行動は、言葉を持たない愛犬が私たちに送る、最後のSOSかもしれません。素早く状況を理解し、行動に移すことが大切です。