2026年4月に法人としてのビットコイン保有量が世界第3位に浮上したメタプラネットですが、そのCEOであるサイモン・ゲロビッチ氏は同年2月23日にX上で注目すべき見解を示しました。これは、Citrini Researchが公開した2028年時点での仮説的経済シナリオ、通称グローバル・インテリジェンス危機レポートに対する返答として投稿されたものです。AIエージェントが経済の主導権を握る未来において、ビットコインが主要な価値保存資産として機能するという主張は、機械と金融が融合する新しい時代の兆しを感じさせます。
機械間取引における合理的な選択
AIが自律的にリソースを調達し、サービス間の決済を担うようになると、人間が介在する既存の金融システムは非効率なものへと変わります。ゲロビッチ氏は、機械がインフラを最適化する過程で、仲介手数料や営業時間の制限がある銀行、カードネットワーク、そして各種の摩擦を回避するようになると指摘しました。機械にとって合理的なのは、プログラムによって即座に、かつ国境を意識せずに取引が完結するデジタル資産を活用することです。
ただし、ゲロビッチ氏が摩擦のない決済手段として想定しているのはビットコインだけではありません。実際の発言では、SolanaやEthereumのレイヤー2上で動くステーブルコインも有力な決済手段として同列に語られています。ビットコインは主に、その発行上限による希少性から、価値保存を担うデジタル資本としての役割が期待されている点に注意が必要です。
主要な価値保存資産としての優位性
AIの普及によって既存の労働市場が変化し、政府の税基盤が揺らぐような事態になれば、法定通貨の供給量が増え、価値が希薄化するリスクが高まります。発行上限が厳格に定められているビットコインは、こうした通貨の増刷に対する強力なヘッジ手段になり得ます。機械が合理的な計算に基づいて資産を守ろうとするならば、中央集権的な意志に左右されない、アルゴリズムに基づいた資産を選ぶのは自然な判断と言えるでしょう。
ビットコインのネットワーク自体はスマートコントラクト機能が限定的ですが、Lightning Networkなどのセカンドレイヤー技術を活用することで、人手を介さない自動支払いに近い仕組みを実装することが可能です。ただし、Lightning Networkは現状、チャネル管理の複雑さや流動性の課題も抱えており、大規模なAIエージェント経済への実用化にはさらなる技術成熟が必要です。こうした技術的課題の解消に向けた取り組みが続いており、AIエージェント経済との親和性は段階的に高まっています。
投資テーマとして注目すべき視点
今回のゲロビッチ氏の見解は、あくまでCitrini Researchの分析レポートに触発されたものであり、氏自身の独立した調査結果ではありません。現時点では、AIが実際にビットコインを主要な資産として選んでいる事実はなく、一つの魅力的な仮説の段階にあります。しかし、世界トップクラスのビットコイン保有企業のリーダーが、AI経済におけるビットコインの構造的役割に言及したことの意義は軽視できません。
ITや経済の大きなトレンドを観察していると、技術の進化は常に古いインフラの制約を打破する形で進んできました。AIとビットコインという二つのパラダイムシフトが重なることで、わたしたちがこれまで当たり前だと思っていた金融や資産の概念が、根本から再構築される可能性があります。機械が選ぶ経済圏という新しい投資テーマを、一過性の流行ではなく構造的な変化として捉えておく価値は十分にあるでしょう。