相続登記義務化、2027年3月の猶予期限まで約8か月の現状


相続登記義務化の基本情報と概要


所有者不明土地の面積が九州本島を上回る規模に達している、という話を聞いても、どこか遠い世界のことのように感じる方は多いと思います。でも2027年3月31日という期限まで、もう約8か月しかありません。「自分には関係ない」と思っていた方が、実は申請義務を負っているケースは全国に相当数あります。あなたの家の不動産は、本当に大丈夫でしょうか。



この制度が生まれた理由は、はっきりしています。相続が発生しても登記が更新されないまま数十年が過ぎてしまった不動産が、全国に膨大に積み上がってきたからです。国土交通省の調査では、所有者不明土地の面積は九州本島を超えており、インフラ整備や災害復旧の現場で「誰に許可を取ればいいかわからない」という状況が繰り返されてきました。行政が土地の所有者と連絡を取ろうにも取れない、という問題が長年放置されてきたことへの、制度的な答えがこの義務化です。



制度の骨格を整理すると、次のようになります。



  • 相続開始を知った日から3年以内に登記申請をすることが義務になりました
  • 2024年4月1日より前に発生した相続も対象です。遡及適用があります
  • その遡及分については、2027年3月31日が猶予期限として確定しています
  • 遺産分割協議がまとまっていない段階でも、相続人申告登記という簡易な手続きで義務を一時的に果たすことができます
  • 法務局に無料相談窓口が設けられており、手続きの入口として活用できます

見落とされやすいのが遡及適用の範囲です。親や祖父母の代から登記が手つかずのままになっている不動産を持つ方も、今回の義務の対象に含まれます。「施行前の話だから関係ない」は通用しません。2027年3月31日という期限が近づくにつれて、手続きが必要な人の数は相当多いはずです。まず自分が対象かどうかを確認することが、過料リスクを避けるための最初の一歩になります。



2026年7月時点で検索が続く背景と現状


2026年7月18日現在、相続登記義務化がGoogleトレンドのリアルタイム検索に浮上しているのは、期限まで約8か月という距離感が関係していると思います。2024年4月の施行から2年以上が経過し、「そろそろ動かないといけないかも」と感じ始める方が増えてきた時期です。法務局や司法書士会の広報活動が活発になるタイミングとも重なるため、検索数が再び増えやすい状況になっています。



施行後も手続きが進んでいない件数は依然として多く、法務省のデータでも相続未登記の不動産が全国の不動産登記のうち相当割合を占めていると指摘されています。なぜ進まないかというと、理由はいくつか重なっています。



  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式の収集が、思いのほか手間のかかる作業です
  • 相続人が複数いる場合、遺産分割協議がまとまるまでに時間がかかることがあります
  • 数次相続、つまり相続が連続して発生している状態では、手続きの複雑さが一気に増します
  • 司法書士への依頼費用が数万円から数十万円規模になるケースもあり、コスト面でためらう方もいます

地方の農地や山林については、そもそも登記を更新することの経済的なメリットを感じにくく、後回しになりやすい事情もあります。こうした要因が重なると、義務化されていても手続きが止まったままになりやすく、過料の対象になりかねない人が積み上がっていく懸念があります。



そこで知っておいていただきたいのが、相続人申告登記という選択肢です。遺産分割がまだ確定していない段階でも、相続人であることを法務局に申告するだけで、登記義務を一時的に果たしたとみなされます。申出書を窓口に提出するだけで完結するため、戸籍謄本の収集も協議書の作成も間に合っていない段階から動き始められます。完璧な準備が整うのを待つよりも、とりあえずこの申告で時間を確保するという発想が、現実的な場面では有効です。



2026年時点では相続登記の申請件数が増加傾向にあり、法務局の窓口も司法書士事務所も混み合い始めているという報告があります。夏から秋にかけては年度内の完了を目指して動く方が増える時期でもあります。制度の内容を知っているだけでは不十分で、書類収集の手順と司法書士への相談時期を具体的に決めることが、今この段階で最も実益のある行動です。