住宅ローン減税が2030年末まで延長、中古住宅の面積要件が40㎡以上に緩和


住宅ローン減税の基本情報と制度概要


12の銀行が、住宅ローンの変動金利が10年後に最大3.847%まで上昇すると試算しています。その一方で、2026年度の税制改正によって住宅ローン減税は2030年末まで延長され、中古住宅の面積要件は50㎡以上から40㎡以上へと緩和されました。減税の恩恵が広がるこのタイミングで、果たして今の住宅購入は本当に得になるのでしょうか。



控除の上限額は、借入額と住宅の種類によって変わります。2025年時点での整理はこうです。新築の認定長期優良住宅・認定低炭素住宅は借入限度額4,500万円、省エネ基準適合住宅は3,500万円、一般住宅は2,000万円。中古住宅は一律3,000万円が上限で、床面積をはじめいくつかの要件を満たす必要があります。



制度を利用するための主な要件は以下の通りです。



  • 住宅の床面積が原則50㎡以上であること(2026年度改正で中古住宅は40㎡以上に緩和)
  • ローンの返済期間が10年以上であること
  • 取得した住宅に居住する年の合計所得金額が2,000万円以下であること
  • 新築住宅は原則として省エネ基準への適合が必要なこと
  • 中古住宅は築年数要件を満たすか、耐震基準適合証明を取得していること

住宅ローン減税は、時限立法として何度も延長されてきた制度です。その都度、条件や控除率が見直されてきました。2022年の改正で控除率が1%から0.7%に引き下げられたときは批判的な声も多かったのですが、それでも制度自体は維持され続けています。新築だけでなく中古住宅の購入者にも恩恵が及ぶため、マンション市場全体の需要を左右する政策として不動産業界からの関心も高い。控除率の引き下げという後退面はあるものの、適用対象の拡大と期限延長が繰り返されていることは、国が住宅取得支援を継続的な政策目標として位置づけているという判断の表れといえます。



2026年度税制改正による延長と面積要件緩和の背景


2026年度の税制改正で、住宅ローン減税制度が2030年末まで5年間延長されることが決まりました。適用期限が繰り返し更新されてきた制度ですが、今回の決定によって少なくとも2030年12月31日までに入居した住宅が対象になることが明確になり、今後数年の住宅購入計画を立てる人にとってはひとつの安心材料になります。



今回の改正でとくに大きいのは、中古住宅の床面積要件の緩和です。これまで原則50㎡以上とされていた条件が、中古住宅については40㎡以上に引き下げられました。都市部では40㎡台のコンパクトマンションが数多く流通しており、この変更によって「面積が足りないから減税が使えない」という理由で選択肢から外れていた物件が、一気に検討対象に入ってきます。



今回の変更が住宅市場にもたらす具体的な影響としては、以下が挙げられます。



  • 床面積40㎡以上50㎡未満の中古マンションへの住宅ローン減税適用が開始されること
  • コンパクト住宅を活用した住み替え需要が増加する見込みであること
  • 都市部の中古マンション市場における購入需要の底上げが期待されること
  • 10年後の変動金利が2.322%から3.847%まで上昇するという12銀行による2026年最新試算が公表されたこと
  • 狭小住宅や中古物件の購入者が節税活用を見直す機会が広がること

一心エステート株式会社代表取締役の高田一洋氏は、今回の面積要件緩和によって住み替えを前提としたマンション購入が増えていくと指摘しています。単なる制度変更ではなく、都市部における住まいの選択肢そのものが広がる動きです。「50㎡未満だから検討しない」と判断していた物件が、ローン減税の対象として改めて俎上に載るようになるわけですから。



ただ、変動金利の将来予測については冷静に受け止めることが必要です。金融機関による試算では相当程度の金利上昇が示されていますが、具体的な水準は試算元や前提条件によってかなり異なります。住宅ローン減税の控除率がローン残高の0.7%相当である以上、将来の金利が3%を超えるような水準になれば、支払い利息が控除額を大きく上回るシナリオは十分に現実的です。減税の恩恵だけに目を向けて判断するのは、少し危うい。金利変動リスクを含めた長期の返済計画こそが、今この時期の本質的な判断軸になります。



5年間の延長が決まったことで、焦る必要はなくなりました。とはいえ、変動金利の上昇予測と面積要件の緩和というふたつの変数が同時に動いている今は、購入を検討している人にとって条件の再確認と試算を行う好機です。減税額を計算するだけでなく、金利タイプの選択や返済期間の設定まで含めて総合的に判断すること。それが、制度の恩恵を家計の実質的な得につなげる唯一の方法です。