アメリカドルが80年も基軸通貨の座を守ってきましたが、そろそろ終わりが見えてきました。ブレトンウッズ体制以降の絶対的なドル支配が揺らいでいるのは、単に中国やBRICSのせいだけじゃないんです。本当のゲームチェンジャーは、ビットコインのような暗号資産の登場なんですよ。
ドルはなぜこんなに長く持ちこたえたのか
1944年から今まで、ドルが基軸通貨として君臨できたのはアメリカの法治主義と開放的な金融市場のおかげです。世界の金の70%を保有していたアメリカは、金1オンス35ドルで固定して信頼を築きました。1971年のニクソンショックで金本位制が終わってもドルは生き残りました。
理由は簡単です。石油を買うにはドルが必要だったから。サウジとのペトロダラー協定で、世界中がドルを使わざるを得ない構造を作ったんです。今でも国際貿易の88〜90%がドルで決済されています。
でもね、ここ数年で何かが変わり始めています。アメリカの無制限な通貨発行と財政赤字がドルの信頼性を蝕んでいるんです。インフレ圧力が高まって、各国が代替案を探し始めました。
ビットコインが注目される本当の理由
コインベースのCEOが興味深いことを言いました。「ビットコインが政府の統制を避けられるグローバル基軸通貨になる可能性がある」と。実際、インフレや制裁で苦しむ国々でビットコインを価値保存手段として使うケースが増えています。
ビットコインの強みは明確です:
- 中央統制のない分散型システム
- 発行量が2100万枚に固定(インフレ不可能)
- 24時間365日、国境なき送金
- 政府や銀行の干渉なしの自由な取引
特にアメリカがドルを武器化したことで、皮肉にもビットコイン需要が増えました。ロシアやイランのような制裁対象国がビットコインで取引を試みるのは公然の秘密です。
まだ越えなければならない山
でも、ビットコインがすぐにドルを代替できるでしょうか。正直、まだ無理です。
価格変動が激しすぎます。昨日6万ドルだったのが今日5万ドルになる資産を基軸通貨には使えません。取引処理速度も問題です。ビットコインネットワークは秒間7件程度しか処理できませんが、VISAカードは秒間6万5千件を処理します。
マイニングの寡占リスクもあります。特定国のマイニングプールがネットワークを支配すれば、分散化の精神が崩れます。
人民元とBRICSはどうなのか
中国の人民元が国際決済で10%を超えたらドルに打撃があるでしょう。BRICS諸国も共同通貨を推進してドル依存度を下げようとしています。
でもこれも簡単じゃありません。BRICS加盟国間の経済格差が大きく、利害関係が異なるので単一通貨を作るには時間がかかります。
結局は多極化時代へ
2030年頃から本格的な通貨覇権競争が始まるでしょう。2050年頃にはドル単独体制ではなく、ドル・人民元・デジタル資産の三角体制になる可能性が高いです。
ビットコインは完全な代替というより補完的な役割を果たすでしょう。国家間の対立が深まるほど、インフレが激しくなるほど、ビットコインのような無国籍資産の価値は上がるしかありません。
ドル覇権は永遠じゃありません。歴史を見れば、スペイン銀貨、オランダギルダー、英国ポンド、すべて一時は基軸通貨でしたが結局席を譲りました。
今、私たちは通貨体制の大転換期を生きています。皆さんもこの変化に備えていますか?