米ナスダック上場企業のエイトコ・ホールディングスが、ビットコインではなくワールドコインに巨額投資をしました。発表後、株価が一日で3000%も急騰。なぜビットコインじゃなかったのでしょうか。
実は、これには「AI時代の身分証明」という狙いがあります。
ビットコインは金庫、ワールドコインは身分証
ワールドコインはOpenAIのサム・アルトマンが共同創業したプロジェクトです。虹彩スキャンで「本物の人間」を証明する技術が核心です。
ビットコインが「デジタル金庫」なら、ワールドコインは「AI時代のパスポート」といったところ。AIが作る偽コンテンツが溢れる時代に、本物の人間を見分ける技術が価値を持つという発想です。
段ボール包装会社だったエイトコは、この投資で「AI時代の身分認証企業」へと大転換を図っています。社名も変更予定だとか。
2億7000万ドルの資金調達の中身
調達方法がなかなか興味深いんです。
私募増資で1株1.46ドルで1億7000万株を発行。さらにビットマイン社から2000万ドル投資を受けて、合計2億7000万ドル。この全額をワールドコイン購入に充てています。
ウォール街の有名アナリスト、ダン・アイブスを取締役会議長に迎えたのも、投資家の信頼を得るためでしょう。
会計処理が複雑で、リスクも大きい
暗号資産は会計上「無形資産」として扱われます。
価格が上がっても利益計上されず、下がれば即座に損失計上。企業にとってはかなり扱いにくい資産です。2025年から米国では公正価値評価が可能になりますが、まだ不透明な部分が多いです。
生体情報規制という最大のリスク
ワールドコインの弱点は虹彩データの収集です。
韓国では個人情報保護委員会が約11億ウォンの課徴金を課しました。スペイン、フランス、ドイツでもサービス停止や調査が行われています。
生体情報は一度流出したら変更できません。パスワードのようにリセットできないんです。だから各国政府が神経を尖らせています。
本当に戦略的投資なのか
エイトコの動きを見ていると、単なる投資ではなく企業アイデンティティの完全な転換だとわかります。
成功すればAI身分認証の先駆者。失敗すれば2億7000万ドルと企業の信頼を失う。かなりハイリスクな賭けです。
でも、AI時代に「本物の人間」を証明する技術が必要になるのは確かでしょう。規制への対応次第では、面白い展開になるかもしれません。
こんな感じで、暗号資産を企業戦略の中心に据える動きが増えています。
Disclaimer: 本記事は情報提供を目的としており、投資・税務・法律・会計上の助言を行うものではありません。記載内容の正確性や完全性を保証するものではなく、将来の成果を示唆するものでもありません。暗号資産への投資は価格変動が大きく、高いリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。