ステーブルコインの時価総額が2025年8月末で2800億ドル(約42兆円)を突破しました。どれくらいすごい規模かピンと来ませんか?韓国のコスピ上位10社を合わせたくらいの規模なんです。さらに驚くのは、この資金の80%以上が米国債に投資されているということです。
なぜ急にステーブルコインが爆発的に成長したのか
仮想通貨取引の90%がステーブルコイン経由
ビットコインやイーサリアムで直接取引する時代は終わりました。今や仮想通貨取引の90%以上がステーブルコインを経由しています。
理由はシンプルです。
- 価格が安定していて取引中の損失リスクが少ない
- 24時間365日送金可能(銀行は週末休みですからね)
- 手数料が格安(国際送金の10分の1程度)
米国のGENIUS法が流れを変えた
2025年に可決された米国のGENIUS法がステーブルコインを完全に制度圏内に引き入れました。もう違法でも、グレーゾーンでもない、合法的な金融商品になったんです。
主な変化:
- 発行会社のライセンス義務化
- 準備金100%義務
- 月次監査報告書の公開
ステーブルコインが米国債の最大購入者に
1ドルのステーブルコイン=0.9ドルの国債需要
ここで興味深い現象が起きています。ステーブルコイン発行会社が担保として米国債を大量購入しているんです。
USDT(テザー)やUSDC(サークル)が保有する米国債:
- 2023年:約800億ドル
- 2024年:約1500億ドル
- 2025年8月:約2200億ドル
このペースだと2026年には中国の米国債保有量を超える可能性があります。
ドルがデジタルの服を着た
ステーブルコインは実質的に「デジタルドル」です。
過去のドル需要:
- 中央銀行の外貨準備
- 石油取引(ペトロダラー)
現在のドル需要:
- ステーブルコインの担保として米国債購入
- DeFiエコシステムの基軸通貨
- AIサービスの決済手段
日本市場への影響は?
日本初の円建てステーブルコイン「JPYC」が誕生
2025年9月、ついに日本でも円建てステーブルコイン「JPYC」が発行されました。日本は2023年6月に改正資金決済法を施行し、世界に先駆けてステーブルコインの法的枠組みを整備していたんです。
JPYCの特徴:
- 1JPYC=1円の価値保証
- 裏付け資産の8割を国債、2割を現預金で保有
- マイナンバーカードによる本人確認義務化
- 1営業日100万円の発行上限(第二種資金移動業)
規制緩和で市場が動き出した
2025年3月の法改正で大きな転換点を迎えました。
主な規制緩和:
- 準備金の最大50%を日米国債で運用可能に
- 仲介業の新設で参入障壁が低下
- SBI VCトレードがUSDC取引サービスを開始
三菱UFJなど大手金融機関も参入準備を進めており、信託型ステーブルコインの発行も視野に入れています。
実用化が急速に進む
JPYCはすでに実用化段階に入っています。
- ナッジのクレジットカード返済に採用(2025年10月予定)
- 電算システムと提携、コンビニ6万5000店での決済可能性
- 3年間で1兆円規模の流通を目標
日本の法規制は世界で最も詳細かつ構造化されており、消費者保護と市場競争力の両立を目指しています。特に円建てステーブルコインは、国際送金の効率化や地域通貨との連携など、新たな金融インフラとして期待されています。
ステーブルコイン戦国時代
時価総額TOP3の違い
USDT(テザー)- シェア70%
- 最も歴史があり流動性が高い
- でも透明性の議論が続く
USDC(サークル)- シェア20%
- 最も透明で規制に友好的
- 米国金融機関が好む
その他10%
- BUSD、DAI、TUSDなどが競争中
収益型ステーブルコインの登場
2025年から利息を払うステーブルコインが登場。担保の国債利息を保有者と分配する仕組みです。年4-5%の収益率を提供していますが、規制リスクもあります。
今後の展開
ステーブルコインはもう選択肢ではなく必須になりました。特にクロスボーダー決済、DeFi、トークン証券などの分野では、ステーブルコインなしには何もできません。
2026年予想シナリオ:
- 時価総額5000億ドル突破
- 中央銀行デジタル通貨(CBDC)との競争
- ビッグテック企業の独自ステーブルコイン発行
ステーブルコインは単なる仮想通貨ではありません。ドル覇権をデジタル世界に拡張するツールです。私たちが知らない間に、金融の土台が完全に変わっています。
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