イーサリアムが史上最高値近くの4950ドルまで上がったと思ったら、あっという間に急落しました。ビットマインのような大企業が数十億ドル規模で買い集めているのに、なぜこんなに不安定なんでしょうか。
7億2000万ドルが一瞬で消えた日
4950ドルまで上がったとき、多くの投資家がレバレッジをかけて賭けていました。レバレッジというのは、借りたお金で投資することです。100万円の元手で1000万円分のイーサリアムを買うような感じですね。
問題は、価格がちょっと下がっただけで強制清算が起きることです。実際、たった1日で7億2000万ドル分のロングポジションが強制清算されました。ドミノ倒しのように連鎖清算が起きて、4500ドル台まで落ちてしまったんです。
これをカスケード・リクイデーションと呼びます。一人の清算が価格を下げ、それがまた次の清算を呼ぶ悪循環です。
企業が買っても支えきれない3つの理由
まず、企業もリスク管理をしています。ビットマインが数十億ドル買ったといっても、彼らにとってはポートフォリオの一部にすぎません。株や債券、不動産と同じように、イーサリアムも資産の一つという位置づけです。
次に、マクロ経済の影響力が強すぎます。米国FRBの金利決定一つで、イーサリアムの価格は大きく動きます。企業がいくつか買ったところで、市場全体のムードは変えられません。金利が上がると、リスク資産である暗号資産からお金が逃げていきます。
そして規制の不確実性がまだ残っています。各国政府の暗号資産規制は頻繁に変わります。SECがイーサリアムを証券として扱うのか、商品として扱うのかによって、企業の投資戦略も変わってきます。この不確実性がある限り、企業採用だけでは安定した価格上昇は望めません。
それでも期待できる理由
企業採用が増えているのは間違いなく良い兆候です。イーサリアムが単なる投機対象ではなく、実際の価値を認められているということですから。
スマートコントラクトプラットフォームとしての活用も広がっています。DeFi、NFT、メタバースなど、さまざまな分野でイーサリアムネットワークが使われています。実際の使用例が増えれば、長期的には価格の安定性も高まるでしょう。
イーサリアム2.0アップグレード後、エネルギー効率は99%改善されました。ESGを重視する企業がイーサリアム投資を前向きに見る理由の一つです。
価格の急騰急落は、レバレッジ清算、マクロ経済、規制の不確実性など複合的な要因によるものです。企業採用は確かに良いサインですが、それだけでは不十分。長期的には技術の発展と実用例の増加がより重要になってきます。
価格変動に一喜一憂するより、イーサリアムエコシステムの成長を見守るほうが賢明かもしれませんね。
本記事は情報提供を目的としており、投資・税務・法律・会計上の助言を行うものではありません。記載内容の正確性や完全性を保証するものではなく、将来の成果を示唆するものでもありません。暗号資産への投資は価格変動が大きく、高いリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。