アメリカの利下げ期待と日本国債金利上昇、ビットコインへの連鎖反応を整理してみた


FRBが利下げするかどうか迷っている間に、日本の国債金利が17年ぶりの高値を記録しました。この二つが暗号資産ポートフォリオにどう影響するのか、実際の市場データで確認してみました。


利下げ期待が崩れた時に起きたこと


2025年8月末、ビットコインが11万ドルを割り込みました。最高値から11%以上の下落です。


原因はFRBの利下げ期待が薄れたことでした。利下げを期待していた市場が失望売りに転じたんです。仕組みはシンプルです。利下げされれば市中にお金が増えて、リスク資産への投資が活発になります。でも利下げが遅れれば、お金の調達コストが高いままで、安全資産への逃避が進みます。


特にデリバティブ市場での大規模な強制清算が連鎖的に発生したことで、下落幅が拡大しました。レバレッジを使っていたトレーダーがマージンコールを受けて、ポジションを整理せざるを得なくなったからです。


日本国債金利急騰が作ったグローバルドミノ


日本の10年物国債金利が急騰して、世界の金融市場が揺れています。


ポイントは「円キャリートレード」の巻き戻しです。低金利の円を借りて、海外の高金利資産や暗号資産に投資する戦略が、日本の金利上昇で崩壊しつつあります。急いでポジションを解消する動きが、暗号資産の売り圧力になっているんです。


さらに日本は2024年から量的引き締めを開始しました。保有資産を減らしながら国債金利が上昇を続けていて、これが投資心理を冷え込ませています。


リスクオン・オフで変わる影響の違い


市場のムードによって影響が180度変わります。


リスクオン(リスク資産選好)の時は、日本の金利上昇が景気回復のサインと解釈されて、暗号資産にも部分的にプラスに働きます。でも円高による収益悪化の懸念もあります。


リスクオフ(リスク回避)の時は、金融市場の不安が増幅されます。安全資産のはずの日本国債まで価格が下落して、暗号資産からの資金流出が加速します。今はこのリスクオフの雰囲気が強くて、暗号資産市場がより敏感に反応しています。


ポートフォリオを守る実践的な方法


こんな複雑な市場で個人投資家ができることは何でしょうか。


まず分散投資の基本設定です。ビットコインやイーサリアムなどメジャーコインを中心に、全資産の一部だけを暗号資産に配分します。ステーブルコインで現金比率も確保しておきます。


リスク管理では、レバレッジの使用を最小限に抑えることが大切です。損切りラインも事前に設定しておきます。証拠金維持率には余裕を持たせます。


市場モニタリングのポイントは、FOMCの議事録、日本国債10年物金利の推移、ドルインデックスの変化、暗号資産の恐怖貪欲指数などです。


短期的な変動に振り回されず、技術的価値のあるプロジェクトに集中することが重要です。感情的な対応より、事前に決めたルールに従うほうがずっと安全です。


デリバティブの清算リスクを理解する


金利ショックがデリバティブ市場を通じて暗号資産まで影響する過程も知っておく必要があります。


金利の急変でデリバティブの価値が急変し、レバレッジポジションの損失が拡大します。マージンコールが発生して強制清算が起き、連鎖的な売りで価格がさらに下落します。


暗号資産市場は24時間動いていて、レバレッジ使用も多いので、この清算カスケードがより速く起きます。週末に突然ビットコインが暴落するのもこれが理由です。


アメリカの金利と日本国債という伝統的金融の変化が、暗号資産市場をこれほど大きく揺さぶることができるなんて、グローバル金融市場の相互接続性を改めて実感します。これからもマクロ指標をチェックしながら、リスク管理を続けていくことが大切ですね。


本記事は情報提供を目的としており、投資・税務・法律・会計上の助言を行うものではありません。記載内容の正確性や完全性を保証するものではなく、将来の成果を示唆するものでもありません。暗号資産への投資は価格変動が大きく、高いリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。


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