イーサリアムの大型アップデートで変わる暗号資産の風景


イーサリアムの「プサカ(Fusaka)」アップグレードが2025年11月に迫っています。同時期にブラックロックなど大手運用会社がステーキング機能付きETF申請を進めていて、この2つが重なると何が起きるのか。実は暗号資産の構造が根本から変わる可能性があります。


ガス代が3割以上安くなる?


プサカアップグレードの目玉はPeerDASという技術です。データ可用性サンプリングという難しい名前ですが、簡単に言えばレイヤー2が今よりずっと効率的にデータ処理できるようになる仕組みです。


ブロックあたりのガス上限が最大4倍まで引き上げられる案も検討中です。これが実現すれば、同時に処理できる取引数が飛躍的に増えます。


実際に使う側から見ると、こんな変化が期待できます。 平均ガス代が30~40%削減。取引処理スピードの大幅アップ。混雑時間帯の減少。DeFiプロトコルの利用コストも下がります。


特に注目したいのは、既存のハードウェア環境でもノード運営がしやすくなる点です。これによってネットワークの分散化がさらに進むでしょう。


ステーキングETFが変えるゲーム


ブラックロック、フィデリティ、グレースケールなど主要運用会社が次々とステーキング機能付きイーサリアムETFを申請しています。SECは現在2025年11月13日まで審査を延長している状態です。


ステーキングETFが承認されると、ETFが保有するイーサリアムがステーキングされ、市場の流通量が即座に減ります。現在すでに全供給量の約28%がステーキングされている中、ETF経由の追加ステーキングは強力なデフレ圧力を生み出します。


機関投資家にとっては年3~5%のステーキング報酬を、複雑な運営なしに得られる魅力的な商品になります。一般投資家も証券口座から簡単にステーキング収益を得られるようになり、参入障壁が大きく下がります。


L2への具体的なメリット


プサカアップグレードがL2ロールアップに与える影響は非常に具体的です。オプティミズム、アービトラム、ポリゴンなど主要L2が直接的な恩恵を受けます。


データ可用性サンプリング技術のおかげで、L2がメインネットに提出するデータコストが大幅に削減されます。これはそのままL2利用者の取引コスト削減につながります。


ネットワークセキュリティの強化も重要な変化です。悪意のある攻撃への防御機能が強化され、L2ブリッジのハッキングリスクが減少します。機関投資家がL2エコシステムに参入する際の信頼基盤となるでしょう。


市場構造の連鎖反応


プサカアップグレードとステーキングETF承認が同時に進むと、イーサリアム市場の構造に根本的な変化が起きる可能性があります。


供給面ではステーキング増加による流通量減少、需要面では手数料低下と使いやすさ向上による新規ユーザー流入が同時に起きます。


さらに重要なのは、イーサリアムが単なる投機資産から実際に収益を生む生産資産として認識が変わることです。ステーキング報酬という明確な収益モデルがあれば、伝統的な金融機関もポートフォリオに組み込みやすくなります。


高いガス代のために躊躇していた企業も、本格的にブロックチェーン導入を検討し始めるかもしれません。これらの変化が2025年後半に集中的に起きる予定です。技術的アップグレードと制度的参入が重なって、イーサリアムエコシステムが次の段階に進む転換点になりそうです。


Disclaimer: 本記事は情報提供を目的としており、投資・税務・法律・会計上の助言を行うものではありません。記載内容の正確性や完全性を保証するものではなく、将来の成果を示唆するものでもありません。暗号資産への投資は価格変動が大きく、高いリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。


金のトークン化が26億ドル突破、イーサリアムが変える「デジタル黄金」の世界