FRB議長が一言つぶやくだけでビットコインが5%も動く不思議な関係

FRB議長が金利について何か言うたびに、ビットコインが急に跳ね上がったり落ちたりするのを見たことありませんか?2025年8月のジャクソンホールで、パウエル議長が金利引き下げの可能性に触れただけで、ビットコインは11万6000ドルを突破しました。数時間で数千ドルも動くこの現象、いったい何が起きているんでしょう。




金利とビットコインが逆に動くシンプルな理由


金利が下がるということは、銀行にお金を預けてもほとんど利息がつかないということです。じゃあ投資家はどこへ向かうか?リスクのある資産に目を向け始めます。


銀行金利が5%なら、安全に銀行に預ける人が多いでしょう。でも1%まで下がったら?わざわざ銀行に置いておく理由がなくなります。そこでビットコインのような高リターンが期待できる資産が魅力的に見えてくるわけです。


パウエル議長が労働市場の減速に触れて景気への懸念を示すたびに、暗号資産市場はお祭り騒ぎになります。景気が悪くなればFRBは金利を下げざるを得ない、すると市場にお金が流れ込んでビットコインに資金が集まる、という流れです。


瞬間的な急騰を作り出すアルゴリズムの正体


パウエル議長が発言する瞬間、何百ものトレーディングボットが同時に動き出します。これらのボットは特定のキーワードを感知すると、0.001秒で買い注文や売り注文を入れます。


ハト派的(dovish)という単語がニュースに出ると、ボットが一斉に買いに走ります。逆にタカ派的(hawkish)という単語が出ると、あっという間に売りの嵐が吹き荒れます。人間のトレーダーがニュースを読んで判断する前に、価格が先に動いてしまうのはこのためです。


暗号資産の恐怖・貪欲指数もこの心理をそのまま映し出します。パウエル議長が緩和的なシグナルを送ると指数は貪欲ゾーンに跳ね上がり、引き締めシグナルを送ると恐怖ゾーンに急落します。


ジャクソンホール講演が特別視される理由


毎年8月のジャクソンホール・シンポジウムは、暗号資産投資家にとってクリスマスのような日です。FRBが今後の金融政策の方向性を示す最も重要な場だからです。


歴史的に見ても、ジャクソンホールでハト派的な発言が出るたびに、ビットコインは第4四半期に強いラリーを見せてきました。2025年も同じパターンでした。パウエル議長が9月の利下げを示唆すると市場はすぐに反応し、テクニカルアナリストは目標価格を12万3000ドルに引き上げました。


面白いのは、このパターンが毎年繰り返されることです。投資家もこれを知っているので、ジャクソンホールの1週間前からポジションを準備します。


実際に使える観察ポイント


FRBの発表スケジュールを事前にチェックしておくといいでしょう。FOMC会議、ジャクソンホール・シンポジウム、パウエル議長の講演日程はFRBのウェブサイトで確認できます。


発表前後はレバレッジ取引を避けるのが賢明です。ボラティリティが極端に高まって強制決済のリスクが高まりますから。現物だけで対応するか、様子見に徹するのも戦略です。


パウエル発言のトーンを見分ける方法を身につけると役立ちます。インフレ懸念=タカ派的=暗号資産下落、景気減速懸念=ハト派的=暗号資産上昇。この公式を覚えておけば、市場の方向性をある程度予測できます。


長期的な視点で見るFRBとビットコインの関係


短期的な値動きに振り回されないことが大切です。FRBの発言で1日に10%上下するのは暗号資産市場では日常茶飯事。重要なのは大きな方向性です。


金利サイクルを理解すると長期投資に役立ちます。利下げサイクルが始まると通常1〜2年続き、この期間中ビットコインは歴史的に強気相場を見せてきました。逆に利上げサイクルでは調整を受けています。


FRBだけでなく世界の中央銀行も一緒に見る必要があります。ECB、日銀、イングランド銀行の政策も暗号資産市場に影響を与えます。特に主要国が同時に緩和政策を取るとき、ビットコインは爆発的に上昇する傾向があります。


こんな感じで、FRBの動きを観察しながら暗号資産市場を見ていくと、単なる価格の上下以上のものが見えてきます。


本記事は情報提供を目的としており、投資・税務・法律・会計上の助言を行うものではありません。記載内容の正確性や完全性を保証するものではなく、将来の成果を示唆するものでもありません。暗号資産への投資は価格変動が大きく、高いリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。


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