トランプ一家が直接運営する暗号通貨プロジェクトWLFIが、2025年9月1日に主要取引所に上場しました。総発行量1000億枚、時価総額約54億ドル規模のこのプロジェクト、単なるトークンを超えて米国金融システムの革新を狙っているんです。
WLFIトークンって結局何なの?
World Liberty Financialのガバナンストークン、それがWLFIです。イーサリアムベースのERC-20トークンで、プラットフォーム運営への投票権を提供します。
面白いのは、最初は譲渡不可能だったトークンが、コミュニティ投票で取引可能になったこと。トランプ大統領の3人の息子が共同創業者として参加し、トランプ本人は「最高暗号通貨支持者」という肩書きを持っています。
現在の価格は約0.22ドル。プレセール初期価格0.015ドルから14倍以上も上昇しています。バイナンスやコインベースを含む20以上の取引所で売買できます。
USD1ステーブルコインという隠し玉
WLFI生態系の核心は、実はUSD1ステーブルコインです。2025年4月の発売後、すでに26億ドル規模に成長しました。
米国債とドル預金で1対1担保される完全準備金方式を採用。BitGoが資産を保管しています。イーサリアム、BNBチェーン、トロンに続き、最近ソラナチェーンへの進出も発表されました。
アブダビ政府関連企業MGXが20億ドル相当のUSD1を購入したのも注目点です。大規模な機関投資は信頼性を高める一方、利益相反の議論も呼んでいます。
トークンアンロックが始まった影響
9月1日からトークンアンロックが開始されました。プレセール参加者が保有するトークンの20%が解放され、市場に売り圧力が生じる可能性があります。
実際、アンロック直後に価格は0.46ドルまで上昇した後、0.21ドルまで下落するなど変動が激しくなりました。アンロック規模は全供給量の約5%程度。残りの80%は今後12〜24ヶ月かけて段階的に解放される予定です。
政治的つながりがもたらすリスク
WLFIの最大の特徴であり、リスクでもあるのがトランプ一家との関連性です。大統領が直接関与する暗号通貨プロジェクトは前例がありません。
中国の億万長者ジャスティン・サンが7500万ドル以上を投資したことも議論を呼んでいます。トランプ就任直後にSECがサンへの調査を中断したという報道もあり、利益相反の疑惑が浮上しています。
Alt5 Sigmaという会社を通じた5億ドル規模の取引も注目されています。WLFIがAlt5を買収した後、Alt5が外部投資金7.5億ドルで再びWLFIトークンを購入する循環構造。従来の金融では危険信号とされる取引方法です。
実際に使える機能は?
WLFIトークン保有者は、プロトコルのアップグレード、手数料構造、新機能追加などに投票できます。ただし、配当や収益分配はありません。
プラットフォームでは暗号通貨の貸借サービスを提供予定。AaveやCompoundのように、資産を預けて利息を受け取ったり、担保を提供して他の資産を借りたりできるようになります。
注意すべき点
WLFIはまだ初期段階のプロジェクトです。ホワイトペーパーや具体的なロードマップが不明確で、実際の製品もほとんど「近日公開」状態。
各ウォレットあたり最大5%までしか投票権を持てない制限はありますが、トランプ一家の支配力は依然として強いです。分散化を標榜しながら実質的には中央集権的な構造という批判も受けています。
トークン価格の変動性も非常に大きく、1日で50%以上の上下動も珍しくありません。特にトランプ関連のニュースや発言に敏感に反応する傾向があります。
スマートコントラクトの監査やセキュリティ検証に関する情報も不足しています。DeFiプロトコルの特性上、ハッキングやバグのリスクは常に存在します。
今のところ、期待と不安が入り混じる状況ですが、今後の展開を注視していきたいと思います。
本記事は情報提供を目的としており、投資・税務・法律・会計上の助言を行うものではありません。記載内容の正確性や完全性を保証するものではなく、将来の成果を示唆するものでもありません。暗号資産への投資は価格変動が大きく、高いリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。