機関マネーが流れ込むソラナ、16億ドル買いの裏側


ソラナが急騰している。価格が200ドルを突破したのは表面的な話で、実は水面下でもっと大きな変化が起きている。


ナスダック上場企業のForward Industriesが、16.5億ドルという巨額を投じてソラナの大量購入に踏み切った。しかもその全額をステーキングに回し、長期保有を宣言している。機関投資家がこれほどの規模で特定のアルトコインに資金を入れるのは、かなり異例だ。


市場から消えた680万SOL


2025年9月、60年の歴史を持つ製造業のForward Industriesが突然、暗号資産企業への転身を発表した。Galaxy Digital、Jump Crypto、Multicoin Capitalといった業界大手から16.5億ドルの私募増資を実施し、そのほぼ全額で約680万SOL(平均232ドル)を購入した。


この量は、ソラナ全体の流通量の約1.25%に相当する。一度にこれだけの量が市場から消えると、需給バランスに影響が出る。さらに同社はバリデーターを立ち上げ、購入したSOL全額をステーキングに投入。手数料0%という条件で他の投資家にも開放し、一気にトップ10バリデーターの仲間入りを果たした。


DeFiロックが114億ドルに到達


ソラナのDeFi生態系も急拡大している。2025年9月時点で、DeFi総ロック額(TVL)は114億ドルを突破した。イーサリアムに次ぐ規模で、レイヤー2のArbitrumやOptimismを上回る水準だ。


主要プロトコルを見ると、JupiterのTVLは30億ドル超、リキッドステーキングのJitoが26億ドル、Marinadeが18億ドルと、10億ドル超のプロジェクトが複数育っている。これは単なる投機マネーではなく、実際に運用されている資金だ。


ステーブルコイン供給が倍増


ソラナ上のステーブルコイン供給量も急増している。2025年1月だけで51億ドルから114億ドルへと倍増した。背景にあるのは、トランプ氏のミームコイン発行をきっかけとした投機熱の高まりだ。


USDCが約80億ドルで全体の7割を占め、USDTが約20億ドルで続く。PayPalのPYUSDも参入し、決済インフラとしての基盤が整いつつある。ステーブルコインが豊富にあるということは、取引や投資に使える「弾」が常に充填されている状態を意味する。


DEX取引量でイーサリアムを追い抜く


最も象徴的なのが、分散型取引所(DEX)の取引量だ。2025年に入ってソラナのDEX取引量はイーサリアムを上回り、全DEX取引の約8割がソラナで発生している。1日あたりの取引量は36億ドルを超える日も珍しくない。


Raydiumは11月単月で1,240億ドルの取引量を記録し、UniswapのVolume 900億ドルを大きく上回った。トランザクション手数料が0.001ドル未満、処理速度が秒間7,000件以上という性能が、実際のユーザーに評価されている結果だ。


アルトコイン相場の構造変化


ビットコイン優位の市場から、資金がアルトコインへ流れる局面に入っている。ビットコインドミナンスが60%を下回り、アルトコインシーズン指数は71まで上昇した。これは2021年の強気相場以来の水準だ。


ソラナは高速・低コストという特性を活かし、ミームコイン、NFT、DeFiなど幅広い分野で活動が活発化している。2025年8月だけで29億件のトランザクションを処理したが、これはイーサリアムが2015年のローンチ以降に処理した総トランザクション数に匹敵する規模だ。


機関が選んだ理由


なぜ機関投資家はビットコインやイーサリアムではなく、ソラナを選んだのか。


まず成長余地が大きい。ソラナは過去最高値(260ドル)をまだ更新していないが、生態系の指標はすでに当時を超えている。2025年第2四半期だけで89億件のトランザクションを処理し、7,500人以上の新規開発者が参加した。


次に実用性の高さ。HeliumネットワークやRenderネットワークなど、大型プロジェクトが次々とソラナへ移行している。処理速度と手数料の優位性が、実際の利用場面で効いている。


そしてETF承認への期待。ビットコインとイーサリアムでETFが承認された流れを見れば、ソラナも時間の問題という見方が強い。カナダではすでに現物ETFが上場しており、米国での承認待ちという段階だ。


これから見るべき指標


ソラナの成長が持続するかどうかは、いくつかの指標で判断できる。TVLが150億ドルを突破できるか、DEX取引量でイーサリアムを継続的に上回れるか、ステーブルコインの流入が続くかどうかだ。


技術面では、Firedancerアップグレードの完了が重要になる。これが成功すれば、ネットワーク性能がさらに向上し、機関投資家の信頼獲得につながる。2025年末までに予定されている主要アップグレードが順調に進めば、「イーサリアムキラー」という呼び名も、単なる期待ではなく現実味を帯びてくる。


今回の急騰は、単なる価格の上昇ではない。機関資金の大量流入、DeFi生態系の爆発的成長、実利用指標の改善が同時に起きている。アルトコイン相場が本格化する中で、ソラナがその中心にいることだけは確かだ。


Disclaimer: 本記事は情報提供を目的としており、投資・税務・法律・会計上の助言を行うものではありません。記載内容の正確性や完全性を保証するものではなく、将来の成果を示唆するものでもありません。暗号資産への投資は価格変動が大きく、高いリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。


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