ステーブルコイン+イーサリアムで年5%を狙う戦略が、なぜ2025年注目されているのか


2025年10月、暗号資産の世界で面白い動きが見えてきています。


米国で7月にGENIUS法案が成立し、ステーブルコインの規制が明確になったことで、これまで曖昧だったルールがはっきりしました。日本でも2023年から改正資金決済法でステーブルコインが「電子決済手段」として位置づけられ、SBI VCトレードが今年USDCの取扱いを開始するなど、環境が整いつつあります。


そんな中、注目されているのが「安定資産と成長資産を組み合わせる」という、シンプルだけど効果的な投資手法です。


なぜ今、混合戦略なのか


暗号資産というとビットコインやイーサリアムの価格変動を思い浮かべる方も多いでしょう。確かに値動きは魅力ですが、リスクも大きい。一方で、米ドルと連動するステーブルコインだけでは、成長の機会を逃してしまいます。


この両者を適切に組み合わせることで、安定性を保ちながら資産を増やしていく道が開けます。


2025年の実際の利回り状況


市場を見てみると、現在こんな数字が見えてきます。


ステーブルコインをDeFiプラットフォーム(AaveやCurveなど)に預けた場合、年利5〜12%程度。中央集権型の取引所では6〜14%といったところです。ただし、GENIUS法案により米国では規制対象のステーブルコイン発行者による利息支払いが禁止されたため、今後は利回り獲得の仕組みが変化する可能性があります。


イーサリアムのステーキングは年利3〜5%程度。Lido stETHのようなリキッドステーキングを使えば、資産を固定せずに報酬を得られます。


実践的なポートフォリオ配分


どのように配分するかは、リスク許容度次第です。


安定志向なら、ステーブルコイン70%、イーサリアム30%という構成。年間5〜7%程度の収益を目指しながら、価格変動を抑えられます。


バランス型は50%ずつ。年間6〜9%の収益を狙いつつ、イーサリアムの価格上昇の恩恵も受けられます。


成長重視なら、ステーブルコイン30%、イーサリアム70%。変動は大きくなりますが、イーサリアムが上昇すれば年間10%以上の収益も視野に入ります。


収益を高めるための工夫


基本的な配分に加えて、いくつかの戦略があります。


DeFiプラットフォームでは、ステーブルコインを預けて基本金利を確保しつつ、イーサリアムはLidoでstETHに変換してステーキング報酬を得る。両方の収益源を同時に活用できます。


Pendleというプロトコルを使えば、将来の利回りを事前に固定することも可能です。不確実性を減らしたい方には有効な選択肢でしょう。


見落としがちなリスク


スマートコントラクトの脆弱性には注意が必要です。Aave、Curve、Lidoといった監査済みの主要プロトコルを選び、資金を分散させることが基本です。


担保を使った戦略を行う場合、清算リスクの管理も重要です。担保比率を常にモニタリングし、緊急用の資金を別途確保しておくことをお勧めします。


規制面では、日本国内でステーブルコインを扱う場合、資金決済法に基づく制限や税務上の取扱いを理解しておく必要があります。


注目すべきプロトコル


Ethenaは、デルタニュートラルヘッジという手法でリスクを抑えながら収益を生み出します。イーサリアムのステーキングと先物の売りポジションを組み合わせ、市場の変動に左右されにくい設計です。


Summer.fiは、複雑なDeFi戦略を自動化してくれるプラットフォーム。手動で細かい調整をしなくても、効率的に運用できます。


1inchは、複数のDEXから最適な交換レートを見つけてくれるアグリゲーター。取引コストを抑えたい時に便利です。


実際の試算例


仮に1000万円を投資する場合を考えてみます。


保守的な戦略(70:30)では、ステーブルコイン700万円×6% + イーサリアム300万円×4% = 年間約54万円。イーサリアムの価格上昇があればさらに増えます。


バランス型(50:50)では、500万円ずつの配分で年間約50〜60万円程度の収益が期待できます。


ただし、これらは過去のデータと現在の市場環境に基づく概算です。実際の収益は市場状況によって変動します。


始める前に考えること


この戦略の魅力は、完全に価格変動にさらされるわけでも、完全に保守的になるわけでもない、中間のバランスを取れることです。


ただし、暗号資産の世界は変化が速く、今日の最適解が明日も同じとは限りません。定期的にポートフォリオを見直し、市場環境に応じて調整していく姿勢が大切です。


自分のリスク許容度を正直に見つめ、無理のない範囲で始めることをお勧めします。


Disclaimer: 本記事は情報提供を目的としており、投資・税務・法律・会計上の助言を行うものではありません。記載内容の正確性や完全性を保証するものではなく、将来の成果を示唆するものでもありません。暗号資産への投資は価格変動が大きく、高いリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。


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