イーサリアム60万円台の攻防戦、80万円突破か50万円割れか?


2025年10月現在、イーサリアムは60万円台で取引されており、年初からの値動きはまさにジェットコースターそのものです。特に注目すべきなのは、2024年5月に米国でイーサリアム現物ETFが承認され、7月から取引が開始されたことで、市場の構造が根本的に変わってきているという点です。


日本市場から見えるイーサリアムの現実


日本の投資家にとって悩ましいのは、現在日本の証券取引所では仮想通貨ETFの取引は行われておらず、日本の証券会社では仮想通貨ETFに投資することはできない状況です。しかし、SBIホールディングスが仮想通貨を組み込んだETFの開発を進めており、国内での上場を視野に入れていると2025年8月に報道されました。


実は東京の金融街では、このニュースをきっかけに水面下で動きが活発化しています。ある大手証券会社の担当者は「米国のETF承認から1年経って、日本でも規制環境が整いつつある」と期待を寄せています。


80万円突破シナリオの現実味


楽天ウォレットは2025年6月頃に240万円(15,500ドル)でピークを迎えると予想していますが、これは極めて楽観的な見方です。より現実的なのは、VanEckが2030年までに基本シナリオで22,000ドル、強気で15万4,000ドルになると想定している中長期的な成長シナリオでしょう。


日本円換算で80万円(約5,000ドル)突破の鍵となるのは以下の要因です:


企業による戦略的保有の加速: BitMine Immersionが約83万ETHを保有し、SharpLink Gamingは約28万ETH(時価総額10億ドル以上)を保有など、企業がイーサリアムを財務資産として積極的に組み入れ始めています。


ステーキング機能付きETFへの期待: ブラックロックなどがSECと協議中で、利回り付きETFの誕生が現実味を帯びています。これが実現すれば、年金基金など機関投資家の資金が本格的に流入する可能性があります。


日本市場特有の動き: SBI VCトレードやCoincheckなど、日本の主要取引所でのイーサリアム取引が活発化しており、ステーキングサービスを利用するのに特別な申込や手続きは一切不要という利便性が個人投資家の参入を後押ししています。


50万円割れリスクの警戒ポイント


一方で、2025年9月には4日連続で資金流出を記録し、合計で5億540万ドル(約740億円)の資金が流出した事実も忘れてはいけません。


50万円(約3,500ドル)を割り込むリスク要因として:


取引量の低迷: 現物取引量が急減する局面では、価格の下支えが弱くなります。特に日本時間の深夜から早朝にかけての取引量減少時は要注意です。


規制リスク: 日本の金融庁の動向次第では、暗号資産取引に対する規制が強化される可能性もあります。


技術的な課題: 頻繁な改良は価格を不安定にし、投資対象として取っつきにくい印象もあるという指摘もあり、アップグレードの度に価格が乱高下するリスクがあります。


実践的な投資戦略


日本の個人投資家として、どのようなアプローチが賢明でしょうか。


段階的な積立投資: 一度に大きな金額を投資するのではなく、毎月定額で購入する積立投資が有効です。GMOコインなら最小発注数量は0.00000001 ETHから可能で、少額からでも始められます。


ステーキングの活用: 保有しているだけで報酬が得られるステーキングは、価格変動リスクをある程度カバーできます。日本の主要取引所の多くが対応しています。


ETF解禁への準備: 日本でETFが承認される可能性に備えて、証券口座の準備も進めておくとよいでしょう。マネックス証券など、暗号資産に親和性が高い企業であり、ETFが承認された際にも迅速に対応する期待が持てる証券会社を選ぶことが重要です。


2025年後半の注目ポイント


2024年12月3日に予定されているFusakaアップグレード(※記事執筆時点では既に完了)など、技術的なアップデートが価格に与える影響を注視する必要があります。


また、Ark Investは2030年までにスマートコントラクト市場が5.2兆ドルに拡大し、主要基盤であるイーサリアムが年間4,500億ドル超の手数料収益を生み出す可能性があると予測しており、長期的な成長ポテンシャルは依然として高いと言えます。


結局のところ、イーサリアムは「デジタル石油」として実需に支えられた成長が期待できる一方で、短期的な価格変動リスクも大きい資産です。日本でETFが解禁される前の今こそ、じっくりと戦略を練る絶好のタイミングかもしれません。


Disclaimer: 本記事は情報提供を目的としており、投資・税務・法律・会計上の助言を行うものではありません。記載内容の正確性や完全性を保証するものではなく、将来の成果を示唆するものでもありません。暗号資産への投資は価格変動が大きく、高いリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。


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