ビットコイン採掘からAI企業へ華麗な転身、米IREN社の株価が530%急騰した理由


ビットコイン採掘会社から突然、AI企業へと大変身。アメリカのIREN社の株価が今年に入って530%も急騰しているんです。


2024年の段階でハッシュレートは約10.0 EH/s、運営するデータセンターの容量は約260MWだったこの会社。それが2025年になってAIインフラ企業として注目を集め、最高で時価総額が477億ドルにまで成長しました。


なぜ今、マイニング企業がAIに転換するのか


実は日本でも同じような動きが見えています。2024年4月の半減期以降、ビットコインのマイニング難易度が史上最高レベルに達し、特に個人マイナーが参入するには非常にハードルが高くなっているんです。


マイニング報酬は以前の6.25BTCから3.125BTCに半減。2021年の最高値時のマイニング報酬と同等の金額を得るには、1BTCあたり約1,400万円台で推移していなければならないという厳しい現実があります。


こうした状況で、多くのマイニング企業が新たな収益源としてAIとの連携に注目しています。なぜならマイニング施設が持つ大量の電力と冷却設備は、そのままAIデータセンターに転用できるからです。


IRENの驚異的な転換スピード


IRENの転換の速さは目を見張るものがあります。最近6億7,400万ドル(約1,000億円)を投資して12,400個のGPUを追加購入し、総数23,000台のGPUを確保しました。


これらはNVIDIAの最新Blackwell B300、B200、そしてAMDのMI350Xという最先端チップです。現在、顧客たちはハードウェアが設置される前から容量を予約している状態で、AI計算需要がいかに逼迫しているかがわかります。


日本企業への示唆


日本では東証スタンダード上場のメタプラネットが同様の戦略を展開しており、2025年には1万BTCの保有を目指す中で、株価が年初比で5倍近くに急騰しています。アジア版マイクロストラテジーとも呼ばれる存在です。


しかし純粋なマイニングからAIへの転換という点では、日本企業はまだ本格的な動きを見せていません。2024年、上場マイニング企業25社中18社が年初来で赤字を記録という厳しい現実を考えると、IRENのような思い切った転換が必要かもしれません。


投資家の評価は真っ二つ


IRENに対する投資機関の評価は極端に分かれています。Roth/MKMは目標株価を35ドルから引き上げる一方で、JPモルガンのような慎重派もいます。


この差は、AI市場の成長性をどう見るかの違いです。2024年12月31日現在、同社は176.1%という目覚ましい収益成長率を達成していますが、これが持続可能かどうかが焦点となっています。


今後の展望と課題


IRENは2026年第1四半期までにAIクラウド部門で年間5億ドル以上の収益を目標にしています。野心的な目標ですが、再生可能エネルギーをkWhあたり0.028ドルという業界平均より30-50%安く確保している強みがあります。


ただし、2025年もビットコインマイニングの採算性は安定しており、1枚当たりのマイニングコストは2万6000ドルから2万8000ドルという状況で、完全にマイニングを捨てるリスクもあります。


結局のところ、IRENの成功は「ビットコインマイニングの資産をAIインフラに転換する」という大胆な戦略が功を奏するかにかかっています。日本の企業にとっても、既存事業の資産を新分野にどう活用するか、大きなヒントになるのではないでしょうか。


Disclaimer: 本記事は情報提供を目的としており、投資・税務・法律・会計上の助言を行うものではありません。記載内容の正確性や完全性を保証するものではなく、将来の成果を示唆するものでもありません。暗号資産への投資は価格変動が大きく、高いリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。


ミームコインとDeFi、どっちがイーサリアムの未来なのか