2025年10月1日、アメリカで約7年ぶりとなる政府機関の一部閉鎖が始まりました。共和・民主両党の対立によってつなぎ予算が成立せず、約75万人の連邦職員が一時帰休となる事態です。通常なら市場全体が不安定になるこの状況で、ビットコインは円建てで史上最高値を更新しています。
10月4日時点で約1,780万円台を記録し、ドル建てでも12万ドルを突破しました。従来の「安全資産」といえば金や国債でしたが、今回は様子が違います。
日本円での最高値更新が示すもの
円建てでビットコインが1,890万円という史上最高値を記録した背景には、円安進行という要因もあります。日本の投資家にとって、ドルベースの価格上昇に加えて為替の影響も重なり、資産価値がさらに押し上げられた形です。
興味深いのは、政府閉鎖という「政治リスク」が、むしろビットコインへの資金流入を促したという点です。国家の信用や政府機能に依存しない「無国籍資産」としての特性が、改めて注目されています。
ETFへの資金流入は想定以上
10月1日だけでビットコインETF全体に約6.7億ドル(約980億円)が流入しました。これは9月10日以来最大の規模で、中でもブラックロックのiシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)には4億550万ドルが集中しています。
週間ベースで見ると、過去1週間で32億ドルの純流入を記録し、2025年で最大の週間流入額となりました。IBITの運用資産総額は907億ドルに達し、ETF全体の中でもトップ20入りを果たしています。
日本市場はまだ準備段階
一方、日本ではビットコインETFは2025年10月時点でまだ承認されていません。SBIホールディングスが仮想通貨ETFの開発を進めているという報道はありますが、金融庁の制度整備待ちという状況です。
日本の投資家がビットコインに投資する場合、現時点では仮想通貨取引所を通じた現物購入か、海外ETFへの投資に限られます。税制面でも、ビットコインの利益は「雑所得」として総合課税の対象となり、株式投資の分離課税(約20%)と比べて税率が高くなるケースが多いのが実情です。
市場の見方は分かれる
スタンダードチャータード銀行のアナリストは、年末までに20万ドル到達の可能性を指摘しています。一方で、JPモルガンは10万ドル程度で推移するという保守的な見方を示しており、予測は分かれています。
ただし共通しているのは、ETFを通じた機関投資家の参入が続けば、中長期的な上昇トレンドは維持される可能性が高いという点です。
個人投資家が知っておくべきこと
政府閉鎖という政治イベントがビットコイン価格に影響を与えるというのは、数年前では考えにくい状況でした。それだけビットコインが金融市場の中で存在感を増しているということでもあります。
もっとも、価格変動リスクは依然として高く、短期的には調整局面も予想されます。日本の投資家としては、税制上の不利さも考慮に入れながら、長期的な視点で判断する必要がありそうです。
ビットコインETFが日本で承認されれば、証券口座を通じた投資や、税制面での優遇措置も検討される可能性があります。それまでは、米国市場の動向を注視しながら、自分なりの投資戦略を組み立てていくことが求められます。
Disclaimer: 本記事は情報提供を目的としており、投資・税務・法律・会計上の助言を行うものではありません。記載内容の正確性や完全性を保証するものではなく、将来の成果を示唆するものでもありません。暗号資産への投資は価格変動が大きく、高いリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。