2025年9月18日、米国市場で初めてドージコインETFの取引が始まりました。レックス・オスプレイが上場した「DOJE」は、初日の取引量が約1700万ドル(約26億円)を記録し、2025年にデビューしたETFの中でトップ5に入る滑り出しとなりました。
ただし、多くの人が思い描く「現物ETF承認」とは異なる形での上場です。DOJEは1940年投資会社法を活用した仕組みで、従来のSEC審査プロセスを経ていません。グレースケールが申請している本格的な現物ETFは、まだ審査中のままです。
なぜ従来とは違う道を選んだのか
1940年投資会社法という古い法律を使うことで、新しい暗号資産規制の複雑な審査を避けられました。ビットコインETFが承認まで何年もかかったのに対し、DOJEは数ヶ月で上場にこぎつけています。
この仕組みでは、ケイマン諸島の子会社を通じて現物を保有できます。投資家は通常の証券口座からドージコインに投資でき、暗号資産取引所の口座を開く必要がありません。機関投資家にとっても参入しやすい形です。
ただし、純粋な現物保有型ではなく、デリバティブも一部含まれているため、価格追従性には若干のズレが生じる可能性があります。
ミームコインの変動性、本当の原因
ドージコインのような暗号資産は、価格変動が激しいことで知られています。実際に市場を観察していると、いくつかの特徴的なパターンが見えてきます。
著名人のSNS投稿一つで、価格が20%前後動くことも珍しくありません。コミュニティの規模と活発さが、そのまま価格に反映される傾向があります。
大手取引所への上場発表は、価格上昇の大きなきっかけになります。一方で、上場廃止の噂が流れただけで急落することもあります。
取引量が少ない時間帯では、大口投資家の売買が市場を大きく動かすことがあります。これがミームコインに特有のリスクです。
規制に関するニュースには、市場が敏感に反応します。特にミームコインは制度的な位置づけが曖昧なため、規制動向の影響を受けやすい性質があります。
機関投資家の参入がもたらす変化
ETFの登場で、機関投資家が本格的に参入し始めています。彼らの動きは個人投資家とは異なります。
資金規模が大きく、数百億円から数千億円単位で動きます。リスク管理手法も体系的で、むやみに投機的な動きはしません。短期売買よりも中長期保有を好む傾向があります。
コンプライアンスを重視するため、適切な規制の枠組みがある商品しか扱えません。DOJEのようなETFは、まさにそうした需要に応えるものです。
ドージコインの先物市場では、ETF上場後に建玉(未決済契約)が増加傾向にあります。これは機関投資家がポジションを構築している証拠と見られています。
市場回復のサインを見極める方法
先物市場の建玉が3日連続で増加し、なおかつ価格も上昇している場合、強気相場の兆候と考えられます。
通常の2倍以上の取引量が発生したときは、大きな価格変動が近い可能性があります。特に日本時間の深夜から早朝にかけて取引量が急増する場合、機関投資家の動きと見ることができます。
テクニカル指標では、RSIが30を下回った後に反転するタイミングや、短期移動平均線が長期移動平均線を上抜ける「ゴールデンクロス」が目安になります。
また、取引所から個人ウォレットへの資金流出が増えると、長期保有目的の投資家が増えていることを示します。
日本からの投資について
現時点では、DOJEは米国市場にしか上場していません。日本の証券会社で取引できるかは、各社の対応次第です。
国内の暗号資産取引所では、ドージコイン自体は取引可能です。コインチェックやビットバンクなどで扱っています。ただし、ETFとは異なり、直接暗号資産を保有する形になります。
税制面では、日本では暗号資産の利益は雑所得として総合課税の対象です。利益が大きくなると、税率も上がります。一方、米国のETFは証券として扱われるため、税制が異なる点に注意が必要です。
実践的なリスク管理
ミームコインへの投資は、ポートフォリオ全体の5%以内に抑えることをお勧めします。損切りラインは購入価格の20%下を目安に、機械的に設定しておくと良いでしょう。
レバレッジ取引は、経験豊富な投資家でも大きな損失を被るリスクがあります。特にミームコインのような変動性の高い資産では、使用を控えるべきです。
情報収集では、公式の発表や大手メディアの報道を優先します。SNSの情報は拡散が早い反面、真偽の確認が難しいため、慎重な判断が必要です。
今後の展望
DOJEの成功により、他のミームコイン(シバイヌ、PEPEなど)のETFも検討される可能性が高まっています。ただし、1940年投資会社法を活用した仕組みが今後も認められ続けるかは不透明です。
グレースケールの正式な現物ETFは、2025年10月頃に判断が下される見込みです。こちらが承認されれば、より本格的な機関投資家の資金流入が期待できます。
一方で、新しい投資商品が登場するということは、新たなリスクも生まれるということです。短期的には期待感から価格が上昇する可能性もありますが、中長期的な価値については慎重に見極める必要があります。
Disclaimer: 本記事は情報提供を目的としており、投資・税務・法律・会計上の助言を行うものではありません。記載内容の正確性や完全性を保証するものではなく、将来の成果を示唆するものでもありません。暗号資産への投資は価格変動が大きく、高いリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。