猫の水分摂取、器より水温が重要?

青い陶器製の猫用給水器の隣で、舌を出して水を飲もうとしている三毛猫。給水器からは水が流れ落ち、透明な氷が浮かんでいます。背景には窓と観葉植物が見えます。


猫の健康維持に欠かせない水分摂取。多くの飼い主様が水飲み器の素材や形に注目しがちですが、実は猫が水を飲まない主な原因は水温にあると言われています。


猫は本来、必要最低限の水分しか摂らない習性があり、1日に体重1kgあたり約50mlの水を飲むのが理想的です。例えば、体重5kgの猫であれば、1日に約250mlの水分を摂取する必要があります。


水飲み器の素材よりも水温が大切な理由


猫が好むのは新鮮で冷たい水です。温かい水よりも冷たい水の方が溶存酸素が多く、猫にとって新鮮だと感じられるためと考えられています。実際に、冷たい水を提供することで猫の飲水量が増加したという研究結果もあります。


水飲み器の素材は猫によって好みが分かれますが、プラスチック製はバクテリアが繁殖しやすい傾向があるため、ガラス製や陶器製がおすすめです。しかし、素材を変更するよりも水の鮮度と温度管理が飲水量増加の鍵となります。


猫が最も好きな水温は体温に近い約38度という説もありますが、これは獲物から水分を摂取していた野生の祖先の習性に起因する誤解かもしれません。現代の室内猫は、新鮮さを保ちやすい冷たい水を好む傾向があります。特に夏場は水がすぐにぬるくなるため、こまめな交換が重要です。


水をあまり飲まない猫のために、今すぐできる3つのこと


猫の飲水量を確実に増やすためには、次の3つの行動を今すぐ始めてみてください。


  1. 水飲み器の水を冷たくして頻繁に交換してください。

    • 冷たい水は猫に新鮮な印象を与え、飲水量を増やすのに役立ちます。水は最低でも1日2回以上交換し、常に新鮮な状態を保ちましょう。

  1. さまざまな場所に複数の水飲み器を設置してください。

    • 猫は鼻やひげの周りが非常に敏感で、水を飲む際に器の深さ、広さ、場所などに影響を受けます。フードボウルから離れた、静かで安全な場所に水飲み器を置いてあげてください。

  1. キャットフードにウェットフードの割合を増やしてください。

    • 猫が水を飲む以外に水分を補給できる最も確実な方法です。フードの水分含有量を増やすことで、1日の総水分摂取量が増加します。

猫の飲水量が少ないのは、単純に水飲み器の種類だけの問題ではありません。猫が本能的に好む水温と鮮度の問題として捉え、対処することが解決の糸口になります。水温と水飲み器の管理に細心の注意を払うことで、愛猫の健康を守ることにつながるでしょう。