市場調査会社カウンターポイント・リサーチの最新発表によると、世界のスマートフォン市場で大きな変化が起きようとしています。アップルはiPhone 17シリーズの好調な販売に支えられ、2025年には年間スマートフォン出荷台数でサムスン電子を抜き、14年ぶりに首位に立つ見込みです。カウンターポイントは今年のアップルの世界シェアを19.4%、サムスン電子を18.7%と予測しています。これまでも売上高ではアップルが1位でしたが、出荷台数でサムスンを上回るという点は、世界のスマートフォン市場における投資のポイントと将来の戦略を再構築する必要があることを示唆しています。
14年ぶりの逆転劇は単なる新製品効果ではない理由
iPhone 17の成功を単なる新製品の発売効果と捉えるのは早計です。より深い構造的変化に注目する必要があります。報告書によると、iPhoneの出荷台数は前年比10%の成長が予想される一方、サムスンのGalaxyスマートフォンは4.6%の成長にとどまる見込みです。この差は、買い替えサイクルとアップルのプレミアム戦略に起因すると考えられます。新型コロナウイルス感染症流行時にスマートフォンを購入した消費者が買い替え時期を迎えており、この需要が特に高価格帯のプレミアムモデルに集中したことが、プレミアム市場を掌握しているアップルにとって決定的な好機となりました。サムスン電子がミドルレンジからプレミアムまで幅広いポートフォリオを展開してきた従来の戦略が、出荷台数1位の維持にはむしろ弱点として作用した可能性もあるでしょう。
アップルの戦略変更: iPhone 17eと折りたたみモデルの登場
アップルが2029年までスマートフォン市場の首位を維持するというカウンターポイントの予測は、アップルの将来的な製品ラインナップ拡大戦略を反映しています。これまで高価格帯のプレミアム戦略を堅持してきたアップルが、普及型モデルであるiPhone 17eや折りたたみ式の折りたたみiPhoneを発売するという予想が、この分析の根拠です。iPhone 17eは新興市場やミドルレンジ市場にまで領域を広げ、出荷台数を最大化する役割を果たすでしょう。また、折りたたみiPhoneは新しいフォームファクター競争において革新的なリーダーシップを確保しようとする動きと解釈できます。これは、アップルが収益性だけでなく、シェア拡大のために現実的な戦略変更を試みていることを意味しています。
サムスン電子が乗り越えるべき課題
サムスン電子が14年間守り続けてきた出荷台数1位の座を譲ったことは、深刻に考えるべき点です。サムスンは依然として市場全体で強力な地位を築いていますが、収益性の高いプレミアム市場でアップルとの差を縮めることが急務です。特に、高価格帯ラインナップにおけるイノベーションの速度と消費者体験の満足度が鍵となります。サムスン電子がGalaxy Z Foldシリーズのような折りたたみ式スマートフォン市場を先行して開拓したにもかかわらず、アップルが折りたたみ式スマートフォンを発売した場合、市場の反応はまた異なる可能性があります。サムスンはGalaxy独自の体験と人工知能(AI)などの最先端技術を融合させ、プレミアム市場の需要を再び引きつけるという難しい課題を抱えています。
投資家が注目すべき市場のサイン
今回のスマートフォン市場のシェア逆転は、投資の観点から2つの重要なサインを示しています。第一に、プレミアム市場における独走体制の強化です。アップルの平均販売価格(ASP)は競合他社を圧倒しており、これは高い利益率と安定した収益構造につながっています。第二に、買い替えサイクルの到来です。新型コロナウイルス感染症流行による買い替えサイクルが本格化する中で、スマートフォン関連部品や素材企業の業績も連動して改善される余地があります。単にスマートフォンメーカーだけでなく、iPhoneとGalaxyの両方に部品を供給する主要なサプライチェーン企業まで幅広く検討すべき時期が来ています。市場の1位争いは、今や新たな段階へと突入しているのです。