ビットコイン市場は、今やブラックロックのIBIT ETFが主導していると言ってもいいかもしれません。IBITに流れ込む機関投資家のお金が、価格を決定する重要な要因になっています。米国でビットコイン現物ETFが承認されてから、本格的に機関投資家の時代が始まりました。
IBITが市場のBTCを吸収
IBITの最大の影響は、供給構造を変えた点です。現物ETFは、運用するために実際のビットコインを市場で買う必要があります。
IBITは急速に成長し、80万BTC以上を保有していると言われます。これは全発行量の約3.8%にもなる量です。このように機関がビットコインを保有すると、市場での流通量が減り、希少性が高まります。
資金の流れが価格を決める
IBITへの資金流入と流出は、価格と強い相関関係があります。2025年10月初め、IBITに週間26億ドル超の記録的な資金が入った時、価格は12万6千ドルを超えました。
逆に資金が抜けると売り圧力となります。10月中旬に記録的な流出があった時は市場も下落しました。ですが、IBITは不安定な時でも流入を記録し、価格を支える姿も見せています。
より正確で簡単な投資へ
IBITは価格発見機能も改善させました。莫大な取引量が流動性を高め、売買価格の差(スプレッド)を縮めます。投資家にとっては、より少ないコストで取引しやすくなったわけです。
0.25%という手数料も魅力です。保管やセキュリティの心配をせず、ビットコインに投資できるのも便利ですね。
価格を合わせる「裁定取引」
IBITのような現物ETFは、「公認参加者(AP)」という仕組みを通じて、ETF価格と実際のビットコイン価値がズレないようになっています。
もしETF価格が割高になれば、APはビットコインを買ってETFを新規発行し、売って利益を出します。逆も同じです。この動きが、ETF価格を本物の価値に連動させ続けます。
競争するライバルたち
市場はブラックロックだけではありません。フィデリティのFBTCも強力なライバルです。
一方で、既存ファンドから転換したグレースケールのGBTCは、手数料が比較的高いためか資金流出が続いています。他にもヘッジファンドや投資顧問など、多くの機関が参加しています。
個人とは違う機関の動き
機関投資家は、私たち個人とは少し行動が違います。彼らは価格の急変動に反応するより、ETFを通じて静かに、継続的に資産を買い入れています。ビットコインを資産分散やインフレ対策の「戦略的資産」として扱っているようです。
IBITの登場は、市場のルールを変えました。これからは機関投資家のお金の流れを把握することが、市場を理解する鍵になりそうです。