ドルが揺らぐ世界で、ビットコインが2%に達した本当の意味



ビットコインが、とうとう世界中のお金(M2・広義の通貨供給量)の約2%の規模に達したようです。


この話を聞いても、多くの人は「また価格が上がったのか」という感想で終わってしまうかもしれません。


ですが、わたしはこれ、私たちが当たり前に使っている「円」の価値や、資産の持ち方を考える上で、思った以上に大きな変化の始まりではないかと感じています。


2%という数字が持つ重み


まず、この2%という数字の計算方法です。これはビットコインの時価総額(価格×発行量)を、世界中の現金や銀行預金などを合計した「グローバルM2」で割ったものです。


仮に世界のお金が100兆ドルなら、そのうち2兆ドル分がビットコインになった、というイメージですね。


なぜこの数字が注目されるかというと、歴史的な「金(ゴールド)」と比べられるからです。金が通貨の代わり、つまり価値の保存手段として本格的に認められ始めたとき、その規模は世界の通貨量の1~3%程度だったと言われています。


つまり、2%は単なる投機の対象から、既存の通貨システムを補うかもしれない「デジタル・ゴールド」として、社会に認識され始めた「しきい値」と見ることもできます。


なぜ今、ビットコインが選ばれるのか


この変化の背景には、世界的な「ドル離れ」の流れが確かに存在します。


これまではアメリカのドルが世界の基軸通貨でした。しかし近年、BRICS諸国などが中心となり、貿易の決済や国の準備資産として、ドルへの依存度を下げようとする動きが活発です。


ドル体制が揺らぐ中で、どの国にも属さず、中央銀行が自由に発行量を増やせないビットコインが、中立的な代替資産として見直されている側面があります。


もう一つは、単純な世界的なカネ余りです。


中央銀行が金融緩和を行うと、そのお金がビットコイン市場に流れ込みます。特にアメリカで現物ETFが承認されたことで、年金基金のような伝統的な金融機関のお金も入りやすくなりました。


ビットコインの価格は、もはや各国の金融政策や世界的な資金の流れと、強く連動するようになっているのです。


リスクと、私たちの生活への影響


もちろん、良い面ばかりではありません。


ビットコインの価格は依然として非常に不安定です。金融ショックが起きると、他の資産と同じように急落することもあります。


また、ETFなどを通じて伝統的な金融システムとの結びつきが強まったことで、ビットコイン市場の混乱が、銀行など既存の金融機関へ影響を及ぼすリスクも指摘されています。規制の先行きが不透明な点も変わりません。


日本に住み、円で生活していると、こうした世界のお金の流れの変化は遠い国の話のように聞こえます。


しかし、世界の基軸通貨であるドルの信頼が揺らぎ、それに代わる資産が実際に2%という規模で存在感を持ち始めた。これは、私たちが「安全」だと信じている法定通貨のあり方が、ゆっくりと、しかし確実に変わり始めているサインかもしれません。


自分の資産を日本円だけで持ち続けることが、10年後、20年後も本当に最適なのか。


ビットコインが2%に達したというニュースは、そんなことを一度立ち止まって見直してみる、良いきっかけを与えてくれているように思います。


Disclaimer: 本記事は情報提供を目的としており、投資・税務・法律・会計上の助言を行うものではありません。記載内容の正確性や完全性を保証するものではなく、将来の成果を示唆するものでもありません。暗号資産への投資は価格変動が大きく、高いリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。


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