「中東には石油、中国にはレアアース」…この言葉、現実になってませんか?



1992年に中国の鄧小平が「中東には石油があり、中国にはレアアース(希土類)がある」と言ったそうです。


30年以上も前の話ですが、今になってみると、これがただの宣言じゃなかったことがよくわかります。中国はこの言葉通り、レアアース産業を国家戦略として育て上げ、今や世界を揺さぶる「武器」にしてしまいました。


レアアースって、名前は聞くけどピンとこないかもしれません。


でも、私たちが毎日使っているスマートフォンやパソコン、電気自動車(EV)の高性能モーター、さらには風力発電のタービンまで、ハイテク製品には絶対欠かせない材料なんです。


これが無ければ、今の便利な生活は成り立たないと言ってもいいくらいです。


中国がこの「武器」を実際に使ったことがあります。


2010年のことですが、日本との政治的な対立が起きたとき、中国は日本向けのレアアース輸出を事実上ストップさせました。あの時は、日本の製造業が大きな混乱に陥りましたよね。


あの経験で、中国に依存することの怖さを痛感した人も多いはずです。


中国はどうやって今の状況を作ったんでしょうか。


彼らは、レアアースを掘り出す段階では外国の投資を制限し、加工や分離・精製といった技術が必要な部分だけに投資を許す、という賢い戦略をとりました。


結果、技術は手に入れつつ、産業の主導権はしっかり握ることに成功したわけです。


最近では、アメリカへの対抗措置として、レアアースそのものだけでなく、関連する加工技術まで輸出管理の対象に加えています。本気度がうかがえます。


さすがにこれではマズいと、各国も動き出しています。


アメリカは、国内の鉱山を再稼働させたり、政府が精製施設に投資したりしています。オーストラリアやヨーロッパ、インドなども協力して、中国に頼らない新しい調達ルート(サプライチェーン)を作ろうと動いています。


レアアースをめぐる動きは、遠い国の話ではなく、私たちの生活に直結する問題です。


普段使っている製品が、実はとても不安定なバランスの上で成り立っているのかもしれません。


こういうニュースを見たときに、「ああ、あの話か」と思い出せるだけでも、世の中の見え方が少し変わってくる気がします。


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