アメリカと中国が貿易のことで揉めている。そんなニュースが流れると、なぜかビットコインの価格が大きく動くことがあります。
遠い国の話だと思っていたのに、自分の関心のある資産が反応するのは不思議な感じがします。国や政府が管理していないはずのビットコインが、なぜこれほど政治的な出来事に影響されるのでしょうか。
世界共通の「不安ゲージ」として
ビットコイン市場は、株式市場と違って24時間365日、世界のどこかで動き続けています。眠らない市場だからこそ、世界の投資家が感じる「不安」や「期待」が、時差なくすぐに反映される場所になっています。
貿易戦争のような大きな経済問題が起きると、まず投資家心理が冷え込みます。その「ちょっとマズいかも」という空気が、株式市場が開くよりも早く、ビットコインの価格に表れることがあるのです。
「金」とは違う、複雑な立ち位置
ビットコインは「デジタル・ゴールド」と呼ばれることもあります。経済が不安な時に買われる「金(ゴールド)」に似ている、という意味です。
確かに、歴史的に価値が認められてきた金は、不安定な時期に「とりあえず安全な場所」として買われる傾向があります。
一方で、ビットコインの動きはもっと複雑です。 貿易摩擦のような緊張が高まると、「リスクが高いから売っておこう」という動きで価格が下がる側面があります(リスク資産としての側面)。
しかし同時に、別の動きも起こります。 例えば、貿易戦争によって自国の通貨の価値が下がりそうだと心配する人たちが、その避難先としてビットコインを買う動きです(価値の保存手段としての側面)。
このように、売る理由と買う理由が同時に発生するため、価格が激しく上下に振れやすくなります。
実際にあった価格の動き
最近の米中間の貿易緊張が高まった時期を振り返ると、その関係性がよくわかります。
アメリカが中国に対して追加関税をかける、といった厳しいニュースが報じられると、ビットコイン価格は敏感に反応し、短期間で大きく下落する場面がありました。
また、緊張が続いている間は、投資家もどう動けばよいか迷うため、価格が不安定になったり、方向感なく動いたりする傾向が見られました。
警報機としての役割
こうした動きを見ていると、ビットコインは単なる投機的な対象というだけではなく、世界経済の体温や緊張度を測る「最初の警報機」のような役割を担い始めているのかもしれません。
貿易摩擦は、単にモノの輸出入が滞るだけの問題ではありません。国境を越えるお金の流れや、デジタル技術に対する規制強化など、目に見えにくい部分にも影響を及ぼします。
そうした複雑な要素が絡み合うため、投資家の心理も揺れ動き、それがビットコインの変動性につながっているようです。
ニュースの見え方が変わる
遠い国の政治的なニュースが、巡り巡って自分の資産とつながっている。
ビットコインの価格変動の背景を知ると、世界経済のニュースが少し違って見えてくる気がします。こうした時にどう判断するかは人それぞれですが、まずは「なぜ今これが動いているのか」を理解しておくだけでも、安心感が少し変わってくるのではないでしょうか。
Disclaimer: 本記事は情報提供を目的としており、投資・税務・法律・会計上の助言を行うものではありません。記載内容の正確性や完全性を保証するものではなく、将来の成果を示唆するものでもありません。暗号資産への投資は価格変動が大きく、高いリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。