SPYとVOO、手数料だけじゃないS&P500 ETFの「使い分け」


S&P500指数に連動するETFといえば、SPYより手数料(総経費率)が安いVOOやIVVに人気が集まっているようです。


実際に2025年には、VOOの資産規模がSPYを上回ったという話も耳にします。投資のコストは安いほうがいいに決まっていますし、当然の流れだと思っていました。


でも、なぜ今でもSPYが世界最大級の取引量を維持しているのでしょうか。その理由を少し調べてみたら、単純なコストだけの話ではないことが見えてきました。


0.06%の差が、将来を変える?


VOOやIVVの総経費率は年間0.03%です。さらにSPLGは0.02%という低さです。


それに対して、歴史あるSPYは約0.09%。この、わずか0.06%ほどの差が、長期投資では大きな違いを生むと言われています。


S&P500への投資は、市場が長期的に平均に戻りながら成長していくこと(平均回帰)を期待するものです。20年、30年と長く持ち続ける場合、このわずかなコストの差が複利で効いてきて、将来のリターンに影響します。


手数料が低いほど、指数そのものの成果に近いリターンが期待できるわけです。これがVOOのような低コストETFに資金が集まる最大の理由です。


それでもSPYがなくならない理由


では、手数料が高いSPYはもう不要なのでしょうか。


実はそうとも言えません。SPYには、他のETFが簡単には真似できない、圧倒的な強みがあります。それは「日々の取引量(流動性)」です。


私たちが売買するくらいの金額なら、VOOでもIVVでもまったく問題なく取引できます。


しかし、大きな資金を扱う機関投資家や、1日に何度も売買を繰り返すトレーダーにとっては、「売りたい時にいつでも売れ、買いたい時にいつでも買える」ことが非常に重要です。


この「取引のしやすさ」という安心感のために、彼らは少し高い手数料を払ってでも、取引量がケタ違いに多いSPYを選ぶことがあるようです。


「指数のズレ」は気にしなくていい?


手数料以外に、ETF選びでたまに話題になるのが「追跡誤差(トラッキングエラー)」です。


これは、ETFの価格が、目標であるS&P500指数の動きとどれくらいズレているかを示すものです。


このズレが生まれる一番の理由は、運用にかかる手数料です。手数料の分だけ、ETFの価値は毎日わずかに目減りしていくので、指数そのものと全く同じ動きにはなりません。


ただ、S&P500のような米国の代表的な500社で構成される指数は、運用会社にとってコピーしやすい対象です。


500銘柄すべてを、指数と同じ比率で買う「完全複製」という方法が使いやすいため、どの運用会社のETFでも、指数との大きなズレは出にくいようです。


ほったらかしでも中身が新しくなる仕組み


こうしたETFにお金が集まる「パッシブ運用」が主流になると、指数の構成比率が高い大企業の影響力がどんどん強くなる、という見方もあります。


確かに今のS&P500は、一部の巨大ハイテク企業に集中している面もあります。


ですが、S&P500指数は「ほったらかし」ではありません。定期的に構成銘柄を見直す「リバランス」が行われています。


時代に合わせて成長した企業を新しく加え、逆に勢いがなくなった企業は外されます。この新陳代謝があるからこそ、S&P500指数自体が長期的にアメリカ経済の成長を映し出してきたのかもしれません。


大切なのは自分の投資スタイル


結局、どのETFが一番良いかは、その人の投資スタイルによるようです。


毎月コツコツと長期で積み立てていくことが目的なら、0.01%でも手数料が安いVOOやSPLGが合理的な選択になるでしょう。


もし短期的な売買や、一度に大きな金額を動かすことを考えるなら、SPYの圧倒的な取引のしやすさも無視できない要素になります。


S&P500に投資するというゴールは同じでも、自分のやり方に合った道具を選ぶことが大切なんですね。ご自身の投資プランがどちらのタイプか、一度見直してみるのもいいかもしれません。


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