経済がなんとなく不安な時期、ニュースで「安全資産へ資金が移動」と聞くことがあります。これはただの現象ではなく、私たちの「損を避けたい」という強い本能が関係しているようです。このお金の流れがわかると、市場が反発するタイミングを少し違った目線で見られるかもしれません。
損失を避けたい本能
人は利益を得る喜びより、損失を被る苦痛をずっと強く感じるようにできています。これを「損失回避」の心理と呼びます。この心理が働くと、合理的な判断が難しくなります。
例えば、株価が下がっても「損を確定したくない」一心で売るタイミングを逃したり。逆に、少し利益が出ると「この利益が消えるかも」と不安になって、早すぎるタイミングで売ってしまったりもします。
お金の避難先とは
では、投資家が不安を感じたとき、資金は具体的にどこへ向かうのでしょうか。 一般的に「安全資産」と呼ばれるものがあります。
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金(ゴールド) 昔から価値の保存手段として信頼されてきました。特定の国の経済状況に左右されにくいのが強みです。
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米ドル 世界の基軸通貨であり、グローバルな不安が高まると需要が集まります。
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米国債 アメリカ政府が発行する債券で、世界で最も信用度が高いとされる資産の一つです。
市場の「恐怖」を数値で見る
こうした市場の不安や恐怖感は、実は数値で確認できます。
日本では「日経VI(日経平均ボラティリティー・インデックス)」がそれにあたります。これは「恐怖指数」とも呼ばれます。
日経VIが急上昇しているときは、多くの投資家が「これから市場が大きく荒れるかもしれない」と警戒しているサインです。
流れの「終わり」が反発のサイン?
興味深いのは、皆が恐怖を感じて安全資産に殺到している時が、危機のピークである可能性が高いという点です。
逆に、市場の反発は、安全資産への資金集中が落ち着いたときに始まることがあります。
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安全資産へのお金の流れが鈍り、安定してきたとき。
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安全資産から、少しずつ株式など(リスク資産)へお金が戻り始めたとき。
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日経VIのような「恐怖指数」がピークをつけ、徐々に下がってきたとき。
このような兆候は、市場の過度な恐怖が和らいできたサインと見ることができます。
終わりに
市場の危機は繰り返されます。そのたびに動く「損したくない」という心理と、その結果としてのお金の流れ。
それを知っておくだけでも、ニュースの見え方や、自分なりの投資のタイミングの考え方が少し変わってくるかもしれませんね。