毎日のように流れてくる、政治や経済の大きなニュース。
そういう情報に触れると、持っている株や投資信託が急に不安になって、今すぐ売った方がいいのかと迷うことがあります。
でも、本当に賢い投資家は、こういう時どう考えているんだろうと、ふと思いました。市場の「ノイズ」に振り回されず、本質的な「シグナル」を見ているという話はよく聞きます。
大事な「シグナル」とは何か
では、その「シグナル」とは何でしょうか。
短期的な市場の動きや、誰かを不安にさせるだけの「ノイズ」とは違って、企業の将来に本気で影響を与える情報のことのようです。
例えば、政府の政策は大きなシグナルになります。
政府がある産業、例えば環境技術や特定の研究開発(R&D)を支援すると発表したら、それはどうでしょう。
こうした支援は、企業のR&D投資を後押しする効果があります。実際に、支援を受けた企業は受けていない企業より多く研究開発にお金を使うという分析もあるようです。
これは、企業の長期的な技術革新や成長の元になるかもしれません。
もちろん、金利やインフレといったマクロ経済の動きも大事な情報です。これらは企業の未来の収益を計算する上で欠かせない要素になりますから。
投資家が見ている「本当の価値」
賢い投資家は、こうした「シグナル」になり得る情報をもとに、企業の「本当の価値」を冷静に評価しようとします。
そして、その評価でとても大切にされるのが「成長性」です。
今、どれだけ利益が出ているか(収益性)も大事ですが、それ以上に「将来どれだけ稼げるようになりそうか」という可能性を見ています。
多くの業界で、企業価値というのは、現在の収益性よりも長期的な成長率の方に3倍から5倍も大きく影響される、という話もあるくらいです。
価値をどうやって測るのか
では、その「本当の価値」はどうやって測るのでしょうか。
いくつかやり方があるようですが、大きく分けると三つあると知りました。
一つは、将来その会社が生み出すであろうキャッシュフロー(現金)を予測して、それを現在の価値に割り引いて計算する方法です。 DCF法と呼ばれることもありますが、未来の収益力を一番直接的に見るやり方ですね。
二つ目は、似たような会社が市場でどんな価格で取引されているか比べる方法です。 PERやPBRといった指標も、この比較のために使われるものだと理解しています。
三つ目は、会社が今持っている純粋な資産(総資産から負債を引いたもの)で評価する方法です。 これは会社の「今」の状態を見るには手堅いですが、未来の成長性は反映しにくいかもしれません。
ノイズのなかで考えるクセ
結局のところ、大切なのは、日々のニュースという「ノイズ」に一喜憂いしないことのようです。
政治がどうとか、市場が騒いでいるとか、そういう情報に触れたとき。
「これは一時的なノイズかな? それとも、あの会社の未来の成長に関わる大事なシグナルかな?」
そうやって一呼吸おいて、情報を仕分けるクセをつけてみる。これからは、そんな視点でニュースと付き合ってみようと思います。