ビットコイン所有率74%停滞が示す資産使い分けの進行

ビットコイン所有率74%停滞が示す資産使い分けの進行

ビットコインの所有率は2025年も2026年も74%のまま動きませんでした。その裏でソラナは18%から20%、USDCは17%から18%へと着実に増えています。所有者が入れ替わっているわけではありません。暗号資産を持つ人たちの目的そのものが分かれ始めている証拠であり、その分裂から取引所やステーブルコイン発行体は静かに利益を積み上げています。74%という一見安定した数字の裏側で何が起きているのか、そしてその変化から実際に利益を得ているのは誰なのか。これを知らないまま次のコインを選ぶのは、かなり損な選択になります。


ビットコインの所有率はなぜ74%で止まったのか

主要コインの所有率推移(2024年から2026年)

ソラナとUSDCが着実に増加、ビットコインは74%で停滞

ビットコイン(%)

74
2025
74
2026

ソラナ(%)

11
2024
18
2025
20
2026

USDC(%)

17
2025
18
2026

Source: 記事内データより作成


bitFlyerの画面が今よりずっと素朴だった頃、ビットコインを買うか買わないか、それだけが選択肢でした。今はCoincheckのアプリを開くだけで数十種類のコインが並んでいます。選択肢が増えれば、ひとつの資産に集中する理由は薄れていくものです。


74%という数字は、裏を返せば暗号資産を持つ人の4人に1人はビットコインを持っていないということです。正直、これは想像していた未来とは違いました。ビットコインが普及すればするほど他のコインは淘汰されると見られていた時期もありましたが、実際は逆でした。普及が進むほど、選択肢の多さそのものが価値になっていったのです。


ビットコインが伸び止まっているのは、魅力が落ちたからではありません。むしろ、すでに買うべき人が買い終わった段階に近いと考えられます。新規の入り口としての役割は、ソラナやUSDCのような、より具体的な使い道を持つコインに移っている気配があります。この移り変わりが何を意味するのか、ソラナとUSDCの伸びから具体的に見ていきましょう。


ソラナとUSDCの伸びは何を意味しているのか

ミーム系コインの明暗、ドージコインとシバイヌの所有率比較

話題性で伸びたコインと、続くコインの違い

ドージコイン(%の推移)

2024:26%
2025:31%
2026:25%

シバイヌ(%の推移)

12%
17%
2024年 2026年

ドージコインは話題性とともに上下動、シバイヌはコミュニティ活動を背景に一貫して増加

Source: 記事内データより作成


ソラナの所有率は2024年の11%から2026年の20%まで伸びています。周囲でソラナを持っている人に理由を聞くと、ほとんどが取引の速さと手数料の安さを挙げます。ビットコインを送るときの手数料や確認時間にいらだった経験がある人ほど、ソラナの体感速度に驚くようです。


USDCの伸びも同じ文脈で読めます。17%から18%への伸びは数字としては小さいものの、ドルに価値を紐づけたコインが暗号資産の世界の中で決済的な役割を担い始めている表れです。値動きに賭けるためではなく、価値を保ちながら移動させるための道具として選ばれています。ビットコインが本来目指していた使われ方とは、少し違う方向に見えます。


誰が利益を得ているかを考えると、GMOコインのような取引所やステーブルコインの発行体がわかりやすい受益者です。USDCが使われるほど、その裏側にある発行体は預かった資産の運用益を得られる構造になっています。利用者が便利さを感じている裏で、静かに利益が積み上がっています。悪いことではありませんが、知っておいた方がいい仕組みです。ビットコイン以外のコインが伸びる理由を考えるときの土台になる話です。次に、話題性で伸びるコインではどうなのか、ドージコインとシバイヌの動きを見てみます。


ドージコインとシバイヌの動きの違いは何を示しているのか

主要コインの所有率とその意味

所有率の変化が示す使い分けの進行

コイン 直近所有率 変化 主な用途
ビットコイン 74% 変化なし 価値保存、実績
ソラナ 20% +2ポイント 高速決済、低手数料
USDC 18% +1ポイント 価値の移動、決済
ドージコイン 25% 6ポイント低下 話題性による投機
シバイヌ 17% +5ポイント コミュニティ活動

Source: 記事内データより作成


ドージコインの所有率は2025年の31%から2026年には25%まで下がりました。この下落は意外ではありません。ミーム的な人気で伸びたコインは、話題性が薄れると同じスピードで所有率も落ちます。2024年の26%から一度31%まで上がり、また25%に戻る。この往復運動そのものが、ドージコインの性質をよく表しています。


一方でシバイヌは12%から17%へと着実に伸びています。同じミーム系のコインなのに、なぜ動きが違うのでしょうか。はっきりした答えはありませんが、シバイヌを持っている人に話を聞くと、単純な話題性ではなく、コミュニティの活動が続いていることを理由に挙げる人が多い印象があります。


話題で買われたコインが、話題が去った後も一部の人には資産として残ります。市場が思っているより成熟してきている証拠かもしれません。コインを選ぶときに話題性だけで判断すべきではないという教訓につながります。ここまでは所有率という数字の動きを見てきましたが、複数のコインを持つこと自体が本当にリスクを下げているのかを検証してみましょう。


複数のコインを持つことは本当にリスク分散になるのか


複数の暗号資産を持つことを分散投資と呼ぶのは、実は少し危険な誤解を含んでいます。株式や投資信託の世界での分散投資は、動きが異なる資産を組み合わせることでリスクを下げる考え方です。ところが暗号資産の場合、ビットコインが下がる日はほとんどのアルトコインも一緒に下がります。相関がとても高いのです。


ビットコインとイーサリアムとソラナを同時に持っていた時期がありましたが、2022年の下落局面ではすべてが同じタイミングで値を崩しました。分散していたつもりが、実際には同じ方向に賭けを重ねていただけだったのです。コインの種類を増やすことは分散に見えて、実際はリスクの総量を増やしている場合が多いと言えます。


一部の調査では、長期的に見て利益が出ていると答える人の方が、損失を経験したと答える人よりも多いとされており、心強い数字です。ただこれは、多くの人が下落局面でも売らずに持ち続けた結果だと考えた方が自然でしょう。分散したから利益が出たのではなく、時間が利益を作った側面が大きいと見ています。この点を取り違えると、次の下落局面で誤った判断をしてしまうかもしれません。ここまで見てきたのは主に投資対象としての暗号資産の動きですが、使う場としての暗号資産、つまり日常の決済にどこまで浸透しているかも確認しておきます。


コンビニで暗号資産を買う時代は本当に来るのか


数年前、セブンイレブンのマルチコピー機で暗号資産を購入できるサービスが話題になった時期がありました。ファミリーマートでも似た取り組みがありましたが、現在の利用実態を見ると、日常的な買い物の延長線として暗号資産を使う人はまだ限られています。PayPayやLINE Payのようなキャッシュレス決済がすでに生活に深く入り込んでいる中で、暗号資産がそこに割り込む余地は、思ったより狭いのが現実です。


これは技術の問題ではなく、必要性の問題です。1万円のコンビニ決済をビットコインで払う理由が、多くの人には見つかりません。価格が変動する資産で日常の買い物をするのは、便利さより不安の方が大きいのです。ステーブルコインが伸びている背景には、この不安を解消したいという需要が隠れているのかもしれません。日常決済において暗号資産が主役になる日は、まだ遠いと見た方が現実的です。


これから暗号資産を始める人は何を基準にすべきか


ここまで、所有率の変化、それぞれのコインが伸びる理由、分散投資の実態、決済としての普及度を見てきました。これから始める人に伝えたいのは、所有率の高さがそのまま安全性を意味しないということです。ビットコインが74%の人に持たれているのは、実績と知名度の証拠であって、値動きが穏やかだという意味ではありません。ソラナやUSDCのように伸びているコインを追いかけることも、過去の値動きの延長線でしかない点は同じです。


数字を見るときに大事なのは、その数字が誰にとって都合よく作られているかを考えることです。bitFlyerやGMOコインのような取引所は、取引量が増えるほど手数料収入が増えます。新しいコインが次々と紹介される背景には、そうした構造があることを忘れない方がよいでしょう。


私は今でもビットコインを中心に、少しだけソラナを持っています。正解だからという理由ではなく、自分が納得できる範囲だからという理由に過ぎません。74%という数字の裏で起きていたのは、暗号資産を持つ理由が値上がりを待つことから使い道で選ぶことへと分かれ始めたことでした。その分裂の利益を静かに受け取っているのは、取引所とステーブルコイン発行体です。この構造を知った上で、それでも何を持つかを決めるのは、結局それぞれの納得の範囲だけなのだと思います。