中国撤退と海外戦略の転換点
くら寿司が2025年6月30日をもって中国本土から全店舗撤退を発表しました。上海3店舗の顧客獲得が進まず、原材料高の影響で業績が悪化したことが主な要因です。
撤退の背景には以下の課題がありました。
- 現地顧客の獲得困難
- 原材料費の高騰
- 競合他社との差別化不足
- 中国市場特有の商習慣への対応不足
一方で北米事業は好調を維持しています。2025年5月末時点でアメリカ76店舗、台湾59店舗を運営し、北米市場では前年同期比20%の売上増を記録しました。
業績の明暗と株価への影響
2025年8月末の株価は約3,780円で推移しています。年初来高値4,195円から下落傾向にあり、アナリストの目標株価2,860円を上回る水準です。
第2四半期決算の主要指標:
- 売上高:1,176億円(前年同期比1.3%増)
- 経常利益:30億円(同50%減)
- 純利益:前年同期比50%減
利益減少の主因は人件費と原材料費の上昇です。コラボ企画の反動減も影響しました。通期見通しは売上高2,430億円、営業利益50億円を維持していますが、既存店売上の減少が懸念材料となっています。
無添加戦略と人気メニューの強み
くら寿司の最大の差別化要因は四大添加物の完全排除です。
排除している添加物:
- 化学調味料
- 人工甘味料
- 合成着色料
- 人工保存料
この方針により素材本来の味を活かした商品展開が可能になりました。人気メニューの「ふり塩熟成まぐろ」は年間7,000万皿以上を売り上げ、2024年にジャパン・フード・セレクションのグランプリを受賞しています。
店舗の人気トップ3は以下の通りです。
- ふり塩熟成まぐろ
- サーモン
- 特製茶碗蒸し
今後の成長戦略と展望
2030年までに海外店舗を400店舗に拡大する計画が進行中です。中国撤退を踏まえ、成功している北米と台湾市場への集中投資を加速させます。
大阪・関西万博では最新の衛生管理システムを活用した次世代レストランモデルを世界に発信する方針です。国内では551店舗を運営し、AIを活用した自動化システムや抗菌寿司カバー「鮮度くん」などの技術革新を推進しています。
ネット通販では「うなぎの蒲焼」や「さば棒寿司」が人気商品として定着しました。楽天市場やYahoo!ショッピングでの販売も好調で、ギフト需要の取り込みに成功しています。
くら寿司は中国市場の失敗を糧に、北米での成功モデルを横展開する戦略に舵を切りました。無添加へのこだわりと技術革新を武器に、グローバル展開の新たな段階に入っています。