最近のビットコインのオンチェーンデータを見ていたら、ちょっと不思議なことが起きています。実際に取引しているアドレス数は2025年初めから減り続けて今は約69万個なのに、動いているビットコインの金額はむしろ急増しているんです。
この逆転現象、暗号資産界隈では「静かなビッグムーブ」と呼ばれています。ネットワークは静かになったけれど、大きなお金が動いているという意味です。
なぜアドレスは減って、取引額は増えるのか
アクティブアドレスというのは、1日の間にビットコインを送ったり受け取ったりした固有のウォレットアドレスの数です。これが減るということは、参加者が減っているということ。
でも同時に、ネットワーク上で動く総ビットコイン量は大幅に増えています。この矛盾の答えは「誰が」取引しているかにあります。
個人投資家は去り、クジラが動き始めた
データを見ると、はっきりしたパターンが見えてきます。
個人投資家の離脱サイン:
- 1BTC未満のウォレットから1日平均約220BTCが流出
- 新規アドレス作成は大幅減少
- 残高ゼロのアドレスが増加中
機関投資家とクジラの大規模移動:
- 3〜5年間眠っていたウォレットから数万BTCが突然移動
- 最近3万BTCを超える超大型の送金を検知
- バイナンスなど大手取引所への入金が数ヶ月ぶりの高水準
機関投資家が作る構造変化
機関は大量のビットコインを少数のアドレスに集中させる傾向があります。個人100人が各0.1BTCを持てば100個のアクティブアドレスになりますが、機関1社が10BTCを持てば1個のアドレスだけです。
だから機関中心の大規模な資産再配置が起きると、アクティブアドレス数は減るけれど、一回の取引規模が巨大になり、結果的に全体の取引量は増えるんです。
高い手数料も影響しています。個人にとって0.01BTCを動かす手数料が高すぎれば取引を諦めますが、機関は100BTCを動かしても同じ手数料なので相対的に負担が軽いです。
オンチェーン指標で「静かなビッグムーブ」を読む
この動きを把握するには3つの指標を一緒に見る必要があります:
- アクティブアドレス数 - 個人投資家の参加度を示す
- 取引量 - 大規模な再配置の動きを捉える
- 取引所入出金- 売買圧力を把握する
取引所への大量入金が意味すること
取引所への大規模なビットコイン入金は、売却準備のサインとして読まれることが多いです。実際、バイナンスへの大量入金後に短期的な価格調整が起きた例は何度もありました。
オンチェーン分析者も「取引所流入量の急増は、強い買い需要がなければ短期的な売り圧力になる」と指摘しています。
このデータをどう活用するか
オンチェーンデータは市場の隠れた動きを事前に察知できる便利なツールです。ただし単一の指標だけで判断するのは危険です。
複数の指標を総合的に見て、短期変動より中長期トレンドに注目し、極端な数値が出たときは特に注意深く観察することが大切です。
ビットコインネットワークで起きている「アクティブアドレス減少+取引量増加」は、市場の主導権が個人から機関へ移っていることを示す重要なサインです。こうしたデータを理解して活用すれば、表面的な価格変動の裏にある実際の市場の動きを把握できるようになります。
Disclaimer: 本記事は情報提供を目的としており、投資・税務・法律・会計上の助言を行うものではありません。記載内容の正確性や完全性を保証するものではなく、将来の成果を示唆するものでもありません。暗号資産への投資は価格変動が大きく、高いリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。