2025年10月、ビットコインが12万5000ドルを突破して史上最高値を更新しました。円建てでは1800万円台に達し、市場は活気に満ちています。
しかし不思議なことに、アルトコインの多くは停滞したままです。イーサリアムやソラナなど主要なアルトコインは、ビットコインほどの勢いを見せていません。これを見て「もうアルトシーズンは終わったのでは」と考える人も少なくないようです。
結論から言えば、違います。アルトシーズンは終わったのではなく、まだ本格的に始まっていないのです。
ドミナンス59%が示すもの
ビットコインドミナンスは現在58.5%前後です。これは暗号資産市場全体の約6割がビットコインに集中していることを意味します。
過去のデータを見ると興味深い傾向が見えてきます。2017年と2021年の大規模なアルトコイン上昇の前、ビットコインドミナンスは60%超でピークをつけた後、40%台まで下落しました。つまり今の位置は、その転換点の直前なのです。
コインベースの分析によれば、2025年5月に65%だったドミナンスは8月に59%まで低下しました。資金がゆっくりとアルトコインへ向かい始めている初期段階です。
アルトシーズンの定義と現状
アルトシーズンには明確な定義があります。時価総額上位50のアルトコインのうち75%以上が、90日間でビットコインの成績を上回った場合です。
現在この指標は49-53%程度で推移しています。75%には届いていませんが、急速に上昇中です。市場は移行期にあり、完全なアルトシーズン突入まであと少しという段階です。
専門家の見解は分かれています。著名アナリストのRekt Capital氏は、ドミナンスが57.68%を下回れば本格的なアルトシーズンが始まると指摘します。一方ベンジャミン・コーウェン氏は、今後数週間はビットコインに資金が集中すると予測しています。
なぜ今回は時間がかかっているのか
アルトコインの弱含みは1600日以上続いており、過去の平均より長期化しています。
主な理由は3つあります。まずビットコイン現物ETFの承認です。ブラックロックなど大手資産運用会社がビットコインに集中的に投資したため、資金がそこに集まりました。
次に金利政策の不確実性です。米連邦準備制度の動向が不透明な中、投資家は比較的安全なビットコインを選びました。
そして市場構造の変化です。機関投資家の参入により、従来の4年サイクルが変わりつつあります。複数のアナリストが「4年サイクルは終わった」と指摘しています。
今とるべき戦略
焦りは禁物です。ビットコインからアルトコインへ急いで乗り換えるのはリスクが高いでしょう。
まず考えるべきは、ポートフォリオの段階的な調整です。ビットコイン60%、アルトコイン40%から始めて、市場の動きを見ながら比率を変えていく方法が現実的です。
投資するアルトコインは慎重に選ぶ必要があります。実用性のあるプロジェクト、活発な開発コミュニティ、明確なユースケースを持つものに絞りましょう。イーサリアムやソラナのような実績のあるレイヤー1、実際に使われているDeFiプロトコルが比較的安全です。
リスク管理も重要です。アルトコインはビットコインより変動が激しいため、利益確定ラインと損切りラインを事前に決めておきましょう。また資産の20-30%は現金やステーブルコインで保持し、調整局面での買い増しに備えるのが賢明です。
2025年第4四半期への期待
過去のデータでは、10月と11月は暗号資産市場にとって強気の月とされています。加えて現在は複数の好材料が重なっています。
トランプ政権の仮想通貨友好的な政策、アルトコインETF承認への期待、連邦準備制度の利下げ観測などです。これらが実現すれば、資金がアルトコイン市場へ大規模に流入する可能性があります。
ただし市場には常に不確実性がつきまといます。地政学的リスクや規制の変化など、予測できない要因も多数存在します。
準備の時期として
ビットコインドミナンス59%という数字は、終わりではなく始まりの合図です。市場は静かに準備を整えている段階で、本格的な動きが始まれば速いでしょう。
今は焦らず、しかし手をこまねいているだけでもなく、静かに準備を進める時期です。ポートフォリオを見直し、有望なアルトコインを調査し、リスク管理の計画を立てる。そして市場の信号に注意を払い続ける。
アルトシーズンの扉は、まさに開こうとしているところです。
Disclaimer: 本記事は情報提供を目的としており、投資・税務・法律・会計上の助言を行うものではありません。記載内容の正確性や完全性を保証するものではなく、将来の成果を示唆するものでもありません。暗号資産への投資は価格変動が大きく、高いリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。