AMDが一日で時価総額約9.5兆円増やしたニュースを見て、ちょっと驚きました。
2025年10月6日、AMDとOpenAIが戦略的パートナーシップを発表した直後のことです。契約内容は今後数年で6ギガワット分のGPUを供給するというもの。AMD株は24%上昇して203.71ドルで取引を終え、時価総額は3306億ドル(約49兆8000億円)に達しました。コカ・コーラやGEを上回る規模です。
200兆円という数字の意味
日本経済新聞が「AIバブル」という言葉を使って報じたのが印象的でした。OpenAIがこれまで表明した投資規模は総額約200兆円に達するそうです。先月はエヌビディアと最大1000億ドル規模の契約を結んでいて、今回のAMDとの契約はその約半分の規模。
ただ、OpenAIは赤字経営が続いている状態です。2025年上半期の売上は43億ドル(約6500億円)でしたが、25億ドル(約3800億円)の現金を消費したという報道もあります。それなのに天文学的な投資を続けているわけです。
日本企業への波及効果と懸念
この動きは日本の半導体関連企業にも影響を与えています。東京エレクトロンの2024年4-12月期売上高は前年同期比38.4%増の1兆7761億円。社長は「AI関連が業績を引っ張る」とコメントしていますが、ある専門家は「AI需要がなければ赤字だった」とも指摘しています。
つまり、日本の半導体製造装置メーカーもAI半導体への依存度がかなり高まっているということです。半導体市場全体で見ると、AI半導体を除いた部分は前年比4%減と低調なんだそうです。
2000年の記憶が蘇る構図
気になるのは、この状況が2000年代初頭のドットコムバブルと似ているという指摘が増えていることです。バンク・オブ・アメリカのアナリストは、2025年下半期にはAI関連株がピークに達し、多額の投資に対するリターンへの懸念が高まる可能性があると予測しています。
ただし、違いもあります。ドットコムバブル期の企業は収益モデルが不明確でしたが、現在のエヌビディアやAMDは実際に利益を上げています。それでも、投資規模があまりに大きすぎるという不安は消えません。
AMDの賭けとリスク
AMDにとってこの契約は数百億ドルの新たな収益機会です。OpenAIには最大1億6000万株分の新株予約権も付与されました。これはAMD株の約10%に相当します。OpenAIが一定の成果目標を達成するごとに権利が確定する仕組みで、最終段階ではAMD株価が600ドルに達する必要があります。現在の株価の約3倍です。
リサ・スーCEOは「これまで発表した中で最大の導入規模」と述べていますが、同時にAMDの業績がAI市場の変動に一層結びつくリスクも生まれました。
韓国で半導体関連のニュースを見ていると、日本も米国も同じ方向に大きく傾いているように感じます。AI投資ブームが本当に持続可能なのか、それとも数年後に振り返って「あれはバブルだった」と言うことになるのか。
楽天証券のアナリストは「2026年には生成AI向け設備投資の伸びが減速する可能性がある」と予測しています。投資家の間では、AI関連株の高騰は2025年下半期までという見方も出ています。