ビットコインは11月26日に約1週間ぶりに9万ドルを回復しましたが、この動きには慎重な視線を向けるべき理由があります。11月には月間で約23~25%下落し、10月初旬の史上最高値12万6198ドルから11月21日には一時8万554ドルまで急落した経緯があり、短期的な回復の持続性には疑問符が付きます。
長期トレンドラインが強力な抵抗帯に
現在の価格帯は下落トレンドが始まった高値から引いた重要な長期トレンドラインの近くにあります。このラインは単なる線ではなく、売り圧力が集中するポイントです。過去にも似た局面で反発が失速した前例があり、ここを明確に突破して支持線に転換する動きが見られない限り、一時的な反発で終わる可能性が高いでしょう。
9万ドル付近は心理的な抵抗線としても機能します。ビットコインETFの平均購入コストは約8万9600ドルとされており、この価格帯に到達すると過去の高値で買った投資家の損益分岐点が意識され、売却の動きが出やすくなります。
ビットコインドミナンスの変動が示す市場の不安定さ
ビットコインのドミナンスは60%から55%まで急落しており、資金がアルトコインに分散している状況です。通常、強い上昇相場の初期段階ではビットコインが資金を集めてドミナンスが上昇するのが定石ですが、現在は逆の動きを見せています。
これは市場全体の流動性が十分ではなく、一部のアルトコインへの投機的な動きに資金が偏っている可能性を示しています。アルトコインブームは投資家がリスクオンに傾いていることを意味し、市場の過熱に伴う急激な調整リスクを警戒する必要があります。ビットコインの確固とした主導力が見られない上昇局面は、不安定性が非常に高い状態と言えます。
短期過熱による調整圧力
短期的な急騰は相対強度指数などのテクニカル指標を過熱域に押し上げ、価格調整の圧力を高めます。投機的なロングポジションが大きく減少し、市場は上昇しやすい状態にあるという見方もありますが、これは逆に言えば、上昇局面で新たな投機的な買いが入れば、その巻き戻しで再び下落圧力が強まるリスクも抱えています。
短期的には8万~9万ドル前後の不安定なレンジを想定する見方が多い状況で、もし重要な支持線が崩れれば、短期投資家の損切りが連鎖的に発生し、下落が加速する危険性があります。
現時点では、リスク管理を徹底することが重要です。現在の短期ラリーは重要な長期トレンドライン抵抗に直面し、ドミナンス低下は市場の不完全性を露呈しており、短期指標も過熱を示しています。攻撃的な投資よりも、市場の構造的リスクを念頭に置いた防御的な姿勢が賢明な戦略でしょう。