リコーGR4が発売されてからしばらく経ちますが、このカメラが日常の景色をどう変えたのかを考えてみました。2025年の今、スマホのカメラ性能がどれだけ上がっても、この小さな黒い塊を手に取る理由がどこにあるのか。実際に使い込んでみて分かったのは、技術的なスペックよりも、撮りたいと思った瞬間に指が動くスピード感が圧倒的に進化している点です。
手の中に収まる究極のスピード感
新しいモデルになって最も体感できる違いは、起動からシャッターを切るまでの淀みのなさです。
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電源ボタンを押してからレンズが繰り出す速度が体感でさらに短縮されました
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独自の位相差検出を組み合わせた新しいフォーカスシステムが暗い場所でも迷いません
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センサーの刷新により、光が少ない夕暮れ時でもノイズを気にせず振り回せます
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片手ですべての操作が完結するボタン配置は、まさに歩きながら撮るためにあります
これまでのモデルでも速さは評価されてきましたが、今回は機械としての反応がより生物に近い感覚になっています。
画質以上に大切な光の捉え方
画素数の向上や新しい画像処理エンジンも搭載されていますが、それ以上に目を引くのは光の階調表現がより滑らかになったことです。
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ハイライトからシャドウへの移り変わりが自然で、肉眼で見た感覚に近いです
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28mmという広すぎず狭すぎない画角が、日常の何気ない奥行きを綺麗に切り取ります
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新しく追加されたカラーモードは、加工した感じが出すぎず、空気感をそのまま残せます
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レンズのコーティングが改良されたのか、逆光でのゴーストの出方が非常に上品です
高画質な写真を撮るというより、その場の温度感を保存するという表現がしっくりきます。
道具としての存在感と信頼
毎日持ち歩く道具として、細かな使い勝手の向上が積み重なっています。
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外装の質感が手に馴染みやすく、手袋をしていても滑りにくい設計です
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バッテリーの持ちが改善され、予備を常に気にしなくてよくなりました
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背面液晶の視認性が上がり、強い日差しの下でも構図を確認しやすいです
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転送アプリの連携がスムーズになり、撮った直後に共有する手間が減りました
結局、どれだけ高性能でも持ち歩かなければ意味がありません。その点、このサイズでこの性能を維持し続けているのは、ある種の執念すら感じます。
今の生活に溶け込む記録の形
写真を楽しむスタイルは人それぞれですが、気負わずに高画質な記録を残したい人にとって、これ以上の選択肢はなかなか見当たりません。大きなレンズを構える必要もなく、ただ目に入った素敵な瞬間を指先一つで固定できる感覚は、一度味わうと戻れなくなります。
もし、今の写真にどこか物足りなさを感じているなら、一度この軽やかさを体感してみる価値はあるかもしれません。
スマホとは違う視点で世界を見てみるのも面白いですよ。