1億画素の中判カメラというだけでも驚きですが、ハッセルブラッド X2D II 100Cが2025年のフラッグシップとして提示する価値は、単なる高解像度だけでは終わりません。これまでのスタジオ撮影が中心だった中判フォーマットの世界を、ついに動きのあるフィールド撮影にまで引き込もうとしている点に、このモデルの革新性があると感じています。静止画だけでなく、動く被写体の撮影までも視野に入れた技術的な進化が、中判カメラの概念そのものを塗り替えようとしています。
中判カメラの常識を覆すAFと手ぶれ補正
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ディープラーニングとLiDARを組み合わせたAF: 425点の位相差検出AFポイントに、ディープラーニングを活用した被写体認識技術とLiDARセンサーが組み合わされました。これにより、特に中判カメラでは難しかった動体追尾性能(AF-C)が大幅に向上し、プロの現場での信頼性が飛躍的に高まっています。
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5軸10段の手ぶれ補正(IBIS): 中判センサー向けに最適化された独自の5軸手ぶれ補正は、最大10段という驚異的な補正効果を実現しました。これにより、三脚なしでの手持ち撮影や、シャッタースピードを落とした撮影の成功率が格段に向上。中判カメラの機動性が一気に高まり、撮影場所の制約が大幅に緩和されています。
これらの進化は、中判カメラの利用シーンをスタジオポートレートや風景撮影といった限定的な領域から、ファッション、スポーツ、ドキュメンタリーなど、より幅広いジャンルへと広げる決定的な要因になるでしょう。
究極の描写力を支えるスペック
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1億画素 BSI CMOSセンサー: 43.8mm x 32.9mmの中判センサーは、フルサイズよりも広大な面積を持ち、1億画素で細部まで逃さない圧倒的な解像力を誇ります。
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16bitの色深度と15.3ストップのダイナミックレンジ: 約281兆色もの色表現力と広いダイナミックレンジは、ハッセルブラッド独自のHNCS(ハッセルブラッドナチュラルカラソリューション)と相まって、ハイライトからシャドーまで自然な階調を正確に再現します。
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大容量1TB内蔵SSDの標準搭載: 1億画素RAWファイルの膨大なデータ量を処理するため、高速な1TB内蔵SSDを搭載。CFexpress Type Bスロットも備え、プロの撮影現場でのデータ管理のストレスを軽減します。
ワークフローの進化とユーザー体験
前モデルから約7.5%の軽量化が図られたグラファイトグレーのマットボディは、携帯性を向上させています。さらに、新たに搭載された5Dジョイスティックやカスタムボタンは、直感的な操作を可能にし、撮影時のリズムを妨げません。
特筆すべきは、モバイルアプリPhocus Mobile 2との連携強化です。撮影現場でiPhoneやiPadを使ってRAWファイルの編集や共有まで行えるようになり、プロフェッショナルの作業効率を飛躍的に高めています。これにより、中判カメラの持つ高画質を、よりスピーディな制作フローに乗せることが可能になりました。
X2D II 100Cは、単なるスペックアップではなく、中判カメラの「使いにくさ」を解消し、「機動力」と「信頼性」を与えたモデルと言えます。最高峰の画質を追求しつつ、よりアクティブな撮影スタイルを望むハイエンドユーザーにとって、これからの基準となる存在になるでしょう。