ケニアで小さな店を営む人が、アメリカにいる家族に送金するとき、銀行手数料でほぼ10%も取られるんです。でもステーブルコインなら、たった5円で済みます。ナイジェリアでは自国通貨の価値が一晩で半分になっても、ステーブルコインで貯金したお金はそのままです。
銀行口座なしでドルが使える時代がきた
アフリカや東南アジアの多くの国では、まだ銀行口座を作れない人がたくさんいます。身分証がなかったり、銀行が遠すぎたり、最低預金額が高すぎたりするからです。でも、スマートフォンさえあれば誰でもステーブルコインのウォレットが作れます。
ウクライナのような戦争中の国では、銀行システムがうまく機能しなくても、ステーブルコインで取引を続けています。ベネズエラやトルコのように自国通貨の価値が急落する場所では、給料をもらったらすぐステーブルコインに替えるのが日常になりました。
実際、ナイジェリアの人たちは毎月給料日になると、現地通貨をテザー(USDT)やUSDCのようなドル連動ステーブルコインに交換します。インフレでお金の価値が溶けていくのを防ぐ唯一の方法なんです。
送金手数料がコーヒー代より安い世界
フィリピンで働く家政婦さんが故郷の家族に生活費を送るとき、従来の送金サービスを使えば手数料だけで5万円を超えます。でもステーブルコインならどうでしょうか。
ソラナブロックチェーンを通じて送れば、手数料はたった5円程度です。送金にかかる時間も数秒で十分。従来の銀行送金が何日もかかって、途中でいくつもの銀行を経由しながら手数料が雪だるま式に増えていくのとは、まったく違う世界です。
アルゼンチンでは、フリーランスで働く人たちが海外クライアントから報酬を受け取るとき、ステーブルコインを好みます。銀行を通すと為替手数料に送金手数料まで引かれますが、ステーブルコインで受け取ればほぼ全額をそのまま受け取れるからです。
実物ドルより便利なデジタルドルの時代
開発途上国で実物ドルを手に入れるのは、思っているより難しいんです。お金持ちか大都市の両替所でしか見かけません。でもステーブルコインなら、インターネットさえあればいつでもどこでも買えます。
レバノンでは銀行システムが崩壊してから、人々が日常の取引でもステーブルコインを使い始めました。パンを買ったり、タクシー代を払ったりするときもUSDTで決済する店が増えています。実物ドルは見つけるのも難しく、偽札の心配もありますが、デジタルステーブルコインならそんな心配はありません。
もちろん欠点もあります。インターネットが切れたら使えないし、スマートフォンがない人は取り残されます。政府の立場からすれば、自国通貨が無視されるのは面白くないでしょう。でも一般の人々にとっては、今すぐ生活に必要な安定したお金のほうが大切なのが現実です。
ステーブルコインが完璧な解決策ではありません。でも今この瞬間も、たくさんの人々がより良い暮らしのために選んでいる現実的な選択肢になっています。技術が作ったこの小さな変化が、これからどんな大きな波を作り出すのか見守りたいところです。
ソウルから見ていると、隣国の日本では当たり前の銀行システムが、世界の多くの場所では贅沢品だということに気づかされます。私たちが当然と思っているものが、実は特権だったりするんですね。