太平洋の小さな島国バヌアツが、いま世界の気候変動議論の中心に立っています。人口30万のこの国が国際司法裁判所で先進国の気候責任を問う訴訟を主導し始めたんです。温室効果ガスをほとんど出していないのに最大の被害を受ける彼らの声が、ついに法廷に響き始めました。
ソウルから見ていても、この動きはただの訴訟じゃないと感じます。小国が大国に正義を求める、まさに現代のダビデとゴリアテの戦いなんです。
海に沈む国の日常
バヌアツは4つの大きな島と80余りの小さな島からなる国です。この30年で海面が10〜15センチも上昇しました。数字だけ聞くとピンとこないかもしれませんが、低地の多いバヌアツでは家や農地が実際に水没しているんです。
地下水に海水が染み込んで、飲み水すら手に入りにくくなっています。台風が来るたびに数千人が家を失います。でもこの国、実は二酸化炭素を排出するより吸収する量の方が多いんですよ。
韓国でも最近、異常気象が増えていますよね。でもバヌアツの状況は、私たちが想像する以上に切迫しています。
国際法廷に響いた小国の大きな声
2023年、バヌアツは歴史的な一歩を踏み出しました。国連総会で国際司法裁判所に「気候変動から保護される権利」について意見を求める提案をして、全会一致で可決されたんです。
なぜこれが重要かというと、温室効果ガスを大量に排出した国々が法的責任を負う可能性が出てきたからです。バヌアツの検察総長は、化石燃料の使用許可や補助金も国際法違反だと主張しています。
現在98カ国が意見を提出していて、先進国は責任範囲を狭めようとし、島国は実質的な賠償を求めています。法的拘束力はありませんが、今後のすべての気候訴訟や国際交渉に大きな影響を与えるでしょう。
若者と小さな島国が作った変化
バヌアツがこんな成果を上げられたのは、太平洋の青年団体と何年も協力してきたからです。彼らは気候危機が現在世代だけの問題ではなく、未来世代の生存権の問題だと訴え続けてきました。
ツバル、キリバスなど他の太平洋島国とも連携して、国際法的責任と損害賠償を求めています。国際海洋法裁判所でも、温室効果ガスの排出が海洋汚染だという判決を勝ち取りました。
ソウルでエアコンをつけるたび、この島国の人々のことを思い出します。私たちの日常が、誰かの生存を脅かしているかもしれないんです。
「私たちが作った危機じゃないのに私たちが消える」
バヌアツは化石燃料を完全に廃止し、100%再生可能エネルギーへの転換政策を実行しています。自分たちにできることはすべてやっているんです。
彼らの訴えが特別な理由はシンプルです。「私たちが作った危機じゃないのに、私たちの生存が脅かされている」。気候変動を引き起こしたのは先進国なのに、被害を受けているのは何の罪もない小さな島国です。
バヌアツの気候訴訟は、単なる法的争いではありません。気候正義を実現し、被害国への実質的な補償を引き出すための第一歩です。小さな島国が投げた石が、国際社会という巨大な湖に波紋を広げています。
次にニュースでバヌアツの名前を見かけたら、ちょっと立ち止まって考えてみてください。私たちにできることは何か、きっと見えてくるはずです。