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ビットコインで300万円の利益を出すと、給与500万円と合算されて実質税率40%超。同じ300万円を日本株インデックスファンドで稼げば約20%で済む。この100万円以上の差が、ようやく解消されることになりました。
2026年3月31日、改正所得税法が成立し、暗号資産の利益を現行の総合課税から申告分離課税へ移行させることが決定しました。現状では暗号資産の売却益は「雑所得」として他の所得と合算され、所得が高い人ほど税率が上がる仕組みです。最高税率は住民税と合わせて55%。株式や投資信託であれば一律約20%の申告分離課税で済む、この非対称な構造が、長年放置されてきました。適用開始は金融商品取引法改正の施行翌年1月1日以降で、2028年1月が有力とされていますが、国会審議の進捗次第で前後する可能性があります。
現行制度が作り出していた矛盾
暗号資産 vs 株式:税率の比較(年収500万円+利益300万円の場合)
Source: 記事本文より
bitFlyerやCoincheckで年間300万円の利益を出したとします。給与所得が別に500万円あれば、合算後の課税所得は800万円を超え、その帯域にかかる所得税率は33%前後。住民税10%と合わせると、暗号資産の利益だけで見た実質税率は40%を超える計算です。
税率の問題より深刻なのが、計算の複雑さです。暗号資産は少額の決済でも課税対象になります。PayPayの残高にビットコインを変換した瞬間、あるいはコンビニで500円のコーヒーを買った時点で、理論上は課税イベントが発生する。取得原価と売却額の差をそのたびに記録しなければならない制度です。誰もきちんと守れない仕組みを作っても、税収は増えません。現実はそういうものです。
分離課税で変わる三つの点
税負担の実額比較:300万円の利益に対して
Source: 記事本文より試算
利益に対して一律20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)の税率が適用されます。株式と同じ扱いという理解で大きく外れはありません。損益通算の範囲については対象が「特定暗号資産」の現物取引・デリバティブ取引・ETFからの所得とされており、引き続き制度の詳細を確認する必要があります。
仮に損益通算が株式と同様に認められるなら、bitFlyerでビットコインの利益が出た年に、Coincheckでアルトコインの損失があれば相殺できるようになります。現行制度ではこれができない。「得した部分には高い税率、損した部分は他の所得と合算不可」という非対称な構造が、是正される可能性があります。3年間の繰越控除も今回の改正で導入されることが確認されています。
三点目は申告の手間です。分離課税への移行と同時に少額決済の課税ルールが整理されれば、PayPayといった既存インフラへの統合も現実味を帯びてくる。税務処理の複雑さが、これまで日常決済との連動を阻んでいた最大の要因でした。ただし少額決済ルールの具体的な整理については、現時点で確定した情報はなく、今後の政令・省令レベルの議論を待つ必要があります。
「改正で価格が上がる」とは言い切れない理由
2026年税制改正:主要ポイントまとめ
Source: 記事本文より
税制が有利になれば市場への資金流入が増える、という見方はわかります。ただ気になるのは改正のタイミングです。
ビットコインは2024年から2025年にかけて大きく上昇し、国内でも多くの人が含み益を抱えた状態になりました。税制が重いままでは利益確定を躊躇させる、含み益を持ったまま市場に居続けさせることは、価格の下支えにもなります。分離課税で売却しやすくなれば、利益確定の売りが一定量出る可能性もある。税制の緩和が必ずしも一方向の価格上昇につながるわけではない、という点は頭に置いておく必要があります。
もう一つ、制度の恩恵がどこに集中するかという問題があります。年収2000万円以上の人が暗号資産で1000万円の利益を出した場合、現行制度と改正後の税率差は相当なものになる。分離課税への移行は、利益を大きく出せる層ほど恩恵が大きい構造です。批判ではなく、単純な観察として記録しておきます。
制度が整うことと、普及は別の話
計算がしやすくなることは確かです。ただ過去に「この流れなら普及する」と思って見立てを外したことが何度かあります。制度が整っても、使う人が増えるかどうかは別の問題で、使い勝手、セキュリティへの不安、そして単純な「よくわからない」という心理的障壁は、税率とは無関係に残ります。
計算しやすくなることと、暗号資産が生活に溶け込むことは、同じではない。それだけは言えます。