
ある調査によれば、投資家の方が創業者よりも2026年に楽観的だという逆転が起きているそうです。普通ならお金を出す側が慎重で、必要とする側が前向きなはずです。この調査ではその構図がひっくり返っています。なぜこの逆転が起きているのか。その裏側には、資金が誰に集まり誰から遠ざかるかを決める新しい基準が隠れています。
2025年が厳しい年だったことについては、創業者側も投資家側も一致しています。ここに意外性はありません。問題はその先です。両者が見ている景色そのものがずれ始めています。単なる不況の話ではなく、誰にお金を出すかという基準そのものが変わってきている話なのです。
投資家と創業者の優先順位はどこですれ違っているのか
創業者と投資家、優先順位のずれから二極化まで
Source: 記事内調査データ(企業・VC約100社対象)に基づく構成
この調査で最も引っかかるのは、優先順位のずれです。創業者はプロダクト開発に力を入れています。良いものを作れば評価されるという発想は、ものづくりの現場では自然な考え方でしょう。投資家が重視していたのは、経営チームの能力そのものでした。プロダクトの出来より、誰がそれを動かしているかを見ているわけです。
- 創業者側の関心軸はプロダクトの完成度や機能差別化です
- 投資家側の関心軸は経営チームの実行力と修正能力です
- 調査対象は企業とベンチャーキャピタル合わせておおよそ100社程度とされています
- 両者が一致した数少ない点は、2025年が厳しかったという評価です
この差は、ビットコインの世界にも似た構造が見られます。個人投資家はチャートの形や短期的な値動きに注目しますが、大口の資金は暗号資産取引所が規制対応をどのように進めているかといった運営体制に注目していると言われています。見ている場所がずれている二者の間では、資金は思ったようには動きません。この認識のギャップが、市場の二極化を生み出しています。
2026年の資金調達市場はなぜ二極化するのか
創業者と投資家、注目点の違い
| 観点 | 創業者 | 投資家 |
|---|---|---|
| 重視する対象 | プロダクトの完成度 | 経営チームの実行力 |
| 評価される要素 | 機能差別化 | 修正能力・意思決定の速さ |
| 2026年見通し | より慎重 | より楽観的 |
| 一致点 | 2025年は厳しい年だったという評価 | |
Source: 記事内調査データに基づく構成
この調査が予測しているのは、緩やかな回復ではなく、はっきりとした分断です。投資家の選別が強まるほど、資金は準備が整った企業に集中し、準備が足りない企業には届きにくくなります。中間層が薄くなっていくという見立てです。
- 投資家の選別基準は経営体制の透明性や意思決定の速さに移行しています
- 資金調達に成功する企業と失敗する企業の差が拡大する傾向にあります
- プロダクトが優れているだけでは評価されにくくなる構造が生まれています
- 準備不足の企業に対しては面談の機会すら減る可能性があります
以前、電子決済関連のスタートアップを追っていた時期がありました。PayPayやLINE Payが急速に普及していく中で、似た機能を持つ新興サービスがいくつも資金調達の話を出していました。当時は機能の差で選ばれると考えていましたが、実際に生き残ったのは、経営陣が規制当局との関係をきちんと構築できていた企業でした。機能ではなく体制で選ばれる時代は、数年前からすでに始まっていたのだと、今になって思います。この流れの中で、創業者が実際に何を変えられるかが問題になってきます。
創業者はピッチの何を変える必要があるのか
2026年、資金調達で選ばれる企業の条件
Source: 記事内容の要約構成
この調査が示す実践的な結論は、プロダクトの説明の仕方を変えることです。投資家が見たいのは製品の機能一覧ではなく、その製品を作っているチームが困難に直面したときにどう対応するかという証拠です。
- ピッチの中心を製品機能から経営チームの実行履歴へ移します
- 過去の失敗や方向転換をどう乗り越えたかを具体的に語ります
- 数字だけでなく意思決定の経緯を説明できる準備をします
- セブン-イレブンやファミリーマートのような実店舗との連携を試みる企業は、実行スピードの証明として使える場合があります
ここで断っておきたいのですが、これは投資家に媚びる話ではありません。むしろ逆で、経営チームの能力を見られるということは、都合の良い話だけでは通用しなくなるということです。ごまかしがきかない市場になるという意味では、健全な方向とも言えるでしょう。
ただ、その健全さの負担を全部背負うのは、資金力の弱い小さな企業です。投資家が創業者より楽観的に見える理由は、この選別の先に自分たちが有利になると分かっているからだと考えれば、冒頭の逆転にも説明がつきます。二極化という言葉は聞こえは中立的ですが、実際には誰かが有利になり、誰かが取り残される仕組みです。この調査を読むときは、誰が得をする分断なのかを合わせて見ておく必要があります。