ソラナ(SOL)を追っていると、2025年9月前後の価格変動に何とも言えない緊張感がありました。200ドル付近を維持しているものの、そこに至るまでの道のりは決して平坦ではなかった。市場では「デレバレッジ」「期待の先行」「FTX関連の売却圧力」という3つの要素が複雑に絡み合って、価格調整が深まっていたのです。
FTXの破綻から2年以上が経った今でも、その影響はソラナに影を落とし続けている。デリバティブ市場では連鎖清算が発生し、ETF承認への期待が盛り上がるたびに利益確定の売りが出る。こうした状況を目の当たりにすると、暗号資産市場の構造的なリスクが浮き彫りになります。
レバレッジ清算の連鎖が引き起こした混乱
デリバティブ市場におけるデレバレッジは、ソラナにとって深刻な試練でした。2025年3月には、FTXの破産オークションで売却された約1120万枚のSOL(約20.6億ドル相当)が順次アンロックされる見通しとなり、市場には大きな不安が広がっていました。
過度なレバレッジを使った投資家たちは、価格変動の波に耐えきれず強制清算に追い込まれます。こうした清算が連鎖すると、売りが売りを呼ぶ展開になる。特に9月中旬から下旬にかけて、この動きは顕著でした。
オンチェーンデータを見ると、アクティブアドレスの減少やネットワーク手数料の低下も確認されています。つまり、価格だけでなく、実際にソラナネットワークを利用するユーザー数も減っていた。これは一時的な現象かもしれませんが、エコシステム全体への信頼感が揺らいでいたことを示しています。
ETF期待が生んだ「噂で買って事実で売る」現象
2025年9月時点で、ソラナのETF承認に向けた動きが活発化しており、米国ではVanEck、21Shares、Canary Capital、Bitwiseの4社がSECに申請を行っています。この期待感は市場に大きな影響を与えました。
ただ、期待が高まるほど、実際の承認が近づくと利益確定売りが出やすい。暗号資産市場でよく見られる「Buy the rumor, sell the news」(噂で買って、ニュースで売る)というパターンです。ソラナもこの波に巻き込まれました。
カナダでは2025年4月にソラナの現物ETFがトロント証券取引所で取引を開始し、上場からわずか2日間で4つのETFの合計運用資産が約7350万ドルに達しました。この成功事例は、米国での承認への期待を高めましたが、同時に「もう十分に織り込まれた」と判断した投資家による売りも誘発しました。
未決済建玉(Open Interest)の減少も、この傾向を裏付けています。先物市場での関心が薄れていくと、それだけ新規資金の流入も期待しづらくなる。
FTX破綻の後遺症が続く売却圧力
FTXの破綻は、ソラナにとって最も大きな試練でした。FTXは破産処理の一環として、これまでに計3回のオークションを通じて総額4100万枚のSOLを売却しており、主要な購入者であるGalaxy社は64ドルで2552万枚を落札し、現時点で187%の収益率を記録しています。
問題は、これらのトークンが段階的にロック解除され、市場に供給される点です。2025年3月1日には約1120万枚のSOL(約20億ドル相当)が解放される見通しとなり、これはソラナの流通供給量の約2.2%に相当する規模でした。
これだけの規模の供給が市場に出ると、当然ながら価格への下押し圧力となります。ロック解除されたトークンをすぐに売却するかどうかは購入者次第ですが、投資家心理としては「いつ売られるか分からない」という不安が常につきまといます。
ソラナ財団はFTXの経営破綻後、FTXのソラナ保有分についての情報を公開し、まだ3300万以上のSOLトークンが解除されていないことを示しました。これは市場で売却されるFTXの保有分の60%以上を占めます。つまり、FTX関連の売却圧力は今後も続く可能性があるということです。
複合的な要因が作り出した調整局面
デレバレッジ、期待先行、FTX売却圧力――これら3つの要因が同時に作用したことで、ソラナは厳しい調整局面を迎えました。どれか一つだけでも価格への影響は大きいのに、それが重なったわけです。
2025年9月には、大口投資家が再びSOLを積極的に買い増ししており、この資金流入が価格の安定につながっています。さらに、Firedancerアップグレードの部分適用によって処理能力が一段と高まり、取引速度や安定性が向上しています。こうした前向きな動きもありますが、市場全体の不確実性は依然として残っています。
ソラナの技術的な優位性や成長ポテンシャルは高く評価されています。しかし、市場の構造的な問題と投資家心理が絡み合うと、どれほど優れたプロジェクトでも価格変動は避けられない。
暗号資産への投資では、こうした外部要因を常に意識する必要があります。レバレッジは慎重に、期待と事実のギャップに注意し、大口売却の可能性を頭に入れておく。地味に聞こえるかもしれませんが、これが長期的に生き残るための基本です。
Disclaimer: 本記事は情報提供を目的としており、投資・税務・法律・会計上の助言を行うものではありません。記載内容の正確性や完全性を保証するものではなく、将来の成果を示唆するものでもありません。暗号資産への投資は価格変動が大きく、高いリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。