2025年10月5日、米国の大手不動産プラットフォーム・オープンドア(Opendoor)のCEOカズ・ネジャティアン氏がビットコイン決済の導入計画を表明しました。「実施する予定です。優先順位を決めるだけです」という短い発言が、不動産業界に大きな波紋を広げています。
なぜ今、不動産×ビットコインなのか
タイミングは絶妙です。ビットコインは10月初旬に史上最高値の約12万6200ドルを記録しました。暗号資産で大きな利益を得た投資家が、安定性のある実物資産へ資金を移したいというニーズが高まっています。
ただし課題もあります。暗号資産を現金化するプロセスは複雑で、税負担も大きい。オープンドアはこの不便さを解消しようとしています。システム内で即座にドルに換算する仕組みを構築する計画で、売主はビットコインを直接扱う必要がなく、買主は保有する暗号資産でそのまま不動産を購入できます。
日本が先行していた実用化の動き
実は、日本の不動産業界はこの分野で先行しています。
オープンハウスグループは2025年1月31日から暗号資産決済を導入しました。当初はビットコインとイーサリアムに対応し、収益不動産を対象にサービスを開始。その後3月にはリップル(XRP)、ソラナ(SOL)、ドージコイン(DOGE)にも対応を拡大し、現在は計5種類の暗号資産で決済可能です。
同社は海外顧客をターゲットに、物件探しから購入、管理、売却までワンストップで提供する体制を整えています。すでに中国語繁体字版サイトも開設し、グローバル展開を加速させています。
日本の暗号資産市場も拡大しています。2025年1月末時点で国内の口座数は約1213万、預託金総額は5兆円を超えました。オープンハウスはこうした市場環境を背景に、越境決済やマイクロペイメント領域での実活用を目指しています。
価格変動への現実的な対応
ビットコインの最大の弱点は価格変動性です。しかし解決策はシンプルです。取引時点で即座に法定通貨に換算すること。オープンドアが準備している方式も同様で、買主がビットコインで支払うと、プラットフォームがリアルタイムでドルに変換し、売主に届けます。売主にとっては通常のドル取引と変わりません。
税務処理の複雑さ
ビットコインで不動産を購入すると、キャピタルゲイン税の対象になる可能性があります。取得時の価格と使用時の価値差に対して課税されます。
日本では暗号資産の売買益で不動産を購入した場合、税務署の資金調査対象となります。申告所得と取得額に差があれば、納税者が証明する必要があります。証明できなければ贈与税や加算税が課される可能性もあります。
米国でも同様で、暗号資産使用時点で処分とみなされ、キャピタルゲイン税が発生します。専門家への相談と徹底した記録管理が不可欠です。
規制環境の変化
オープンドアのビットコイン決済導入は、規制当局にも影響を与えるでしょう。不動産取引はマネーロンダリング対策(AML)と本人確認(KYC)規定が厳格な分野です。
暗号資産決済が普及すれば、規制も明確化されていきます。投資家保護と市場透明性は向上しますが、遵守すべき規定も増えるでしょう。全体としては「抑制」から「管理」「統合」へと進化していくと見られています。
実物資産とデジタル資産の境界線
オープンドアの決定は単なる決済手段の追加ではありません。不動産市場のデジタル化、グローバル化を加速させる象徴的な出来事です。
若い世代や国際投資家は既に暗号資産に慣れています。国境を越えた取引も格段に簡便になります。アナリストはビットコインが年末までに12万〜20万ドルに達すると予測しており、暗号資産保有者の購買力はさらに拡大するでしょう。
もちろん課題は残ります。価格変動管理、税務処理、規制遵守など解決すべき問題は山積みです。しかし技術は進化し続け、規制も徐々に明確化されています。
日本のオープンハウスが実用化を先行し、米国のオープンドアが後に続く形となりました。実物資産とデジタル資産の境界が曖昧になりつつあり、この変化は既に不可逆的な流れとなっています。
Disclaimer: 本記事は情報提供を目的としており、投資・税務・法律・会計上の助言を行うものではありません。記載内容の正確性や完全性を保証するものではなく、将来の成果を示唆するものでもありません。暗号資産への投資は価格変動が大きく、高いリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。