最近のビットコイン価格の急激な動きを見て、「なぜこんなに乱高下するのだろう」と感じている人は多いと思います。実は、この変動の裏には、ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン教授の本質的な懐疑論と、ドナルド・トランプ大統領の親暗号資産政策が生み出す、二つの巨大な力が絡み合っているのです。単純なニュースの羅列ではなく、この二つの視点から市場の本質を深掘りしてみましょう。
クルーグマン教授が指摘する価値の「不安定さ」
クルーグマン教授は長年、ビットコインを価値貯蔵手段として認めることに非常に批判的です。彼の主張の核心は、ビットコインが「実物資産」としての地位を確立できていないという点にあります。金のように何千年もの歴史を経て、インフレヘッジ(物価上昇への備え)として機能することが証明された伝統的な資産とは違い、ビットコインには不安定な値動きがあるからです。
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伝統的な安全資産は、市場が混乱しても価値を保つ「避難所」の役割を果たします。
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しかし、ビットコインはしばしば株式などのリスク資産と同じように下落する「同調化」を見せます。
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教授は、この激しい変動こそが、ビットコインの内側にある価値に対する社会的な合意が不安定であることの証拠だと分析しています。
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実際、クルーグマン教授は2024年7月の時点でも、ビットコインは経済的に役に立たないままだと繰り返し指摘しています。
トランプ大統領が呼び込む「政治的期待」
一方で、ドナルド・トランプ大統領の動きは、暗号資産市場に強烈な追い風を吹かせています。トランプ大統領は「仮想通貨の大統領」を自称し、親暗号資産的な政策を次々と打ち出しています。
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特に、政府が押収したビットコインなどを売却せず金のように戦略的に備蓄するという公約は、市場の期待値を大きく引き上げました。
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トランプ政権下では、2025年1月の大統領令で政府によるデジタル通貨(CBDC)の発行を禁止し、民間主導の暗号資産開発を支持する姿勢を明確にしました。
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このような動きは、単なる支持集めにとどまらず、米国がデジタル金融のグローバルハブを目指すという大きな戦略と結びついています。
変動性の真の理由:本質論と政策の衝突
ビットコインの激しい値動きは、クルーグマン的な本質的な価値への疑問と、トランプ的な政治的な期待感という二つの要素が衝突した結果だと捉えるのが最も自然です。
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不安定な期待の「泡」 トランプ氏の政策は短期的には強力な買い材料になりますが、規制緩和や備蓄の実際の実現スピードが市場の期待に追いつかないと、一気に期待先行の泡が弾けて急落します。
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規制リスクの「影」 トランプ政権の友好的な姿勢にもかかわらず、米国証券取引委員会(SEC)や連邦準備制度理事会(FRB)など、他の規制当局の動向次第で市場は常に冷やされるリスクを抱えています。たとえば、2025年11月下旬にもSECがデジタル資産の分類について検討を続けるなど、規制の方向性はまだ流動的です。
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統合への「成長痛」 トランプ氏がビットコインを戦略資産として扱うことは、ビットコインが既存の金融システムに組み込まれる過程だと解釈できます。これはビットコインが「既存システムの代替」ではなく「その一部」になる上での避けられない成長痛とも言えるでしょう。
投資をする側は、クルーグマン教授の厳しい指摘から投資対象の「本質」を冷静に見つめ、同時にトランプ氏の政策の動きから「市場のルール」がどう変わるのかを敏感に読み取る、バランスの取れた視点を持つことが大切です。目先の価格に一喜一憂せず、暗号資産が世界の金融システムにどのように統合されていくのかという長期的な流れを追うのが賢明な方法だと思います。