最近、アメリカの大きな銀行であるJPモルガンが、ビットコインやイーサリアムを担保にお金を貸すサービスを始めようとしている、という話が出てきました。機関投資家、つまり大きな会社向けの話ですが、これは結構すごいことだと思います。
ちょっと前まで、そこのトップはビットコインに対してかなり批判的だったはずですから。それが今や、銀行の正式なサービスに組み込もうとしている。この変化は、ただ「仮想通貨が認められた」という以上に、お金や信用のあり方が変わっていく始まりなのかもしれません。
なぜ今、担保にするの?
これまで、大きな会社がビットコインを持っていても、それは「持っているだけ」でした。
もちろん、将来の値上がりを期待してのことですが、急にお金が必要になったら売るしかありません。でも、売りたくはない。そこで、「持っているビットコインを担保にして、お金を借りられないか」というニーズが生まれるのは自然な流れです。
JPモルガンは、その需要に応えようとしています。これは、ビットコインのETF(投資信託のようなもの)を担保にするのとは訳が違います。現物のビットコインそのものを「資産」として扱う、ということです。
銀行が直接ビットコインを持つわけじゃない
ここで一つ、面白い点があります。JPモルガンは、顧客から預かったビットコインを自分で直接管理するわけではないようです。
ではどうするかというと、コインベースやフィデリティといった、暗号資産の管理を専門にする会社(カストディアンと呼ばれます)を使います。これらの会社は、ハッキングや盗難が起きないよう、すごく厳重なセキュリティで資産を守るプロです。
銀行としては、専門外の資産を管理するリスクを負わずに、担保としての価値だけを利用できるわけです。もちろん、そのカストディアンがもし破綻したら? という新しいリスクも生まれますが、そこは契約や監査でしっかり管理していくのでしょう。
評価額は、かなり慎重
とはいえ、ビットコインは価格の変動がとても激しいですよね。
だから、銀行もお金を貸すときはすごく慎重です。担保として認められる価値(LTV=担保評価額の割合)は、だいたい40%から60%くらいになりそう、と見られています。
たとえば、1000万円分のビットコインを預けたとしても、借りられるのは400万円から600万円くらい、ということです。もしビットコインの価値が急に下がったら、すぐに対応できるような仕組みもセットになっています。
他の銀行も同じ流れ
実は、こうした動きはJPモルガンだけではありません。
モルガン・スタンレー、ステート・ストリート、フィデリティといった他の大手金融機関も、同じように暗号資産を使ったサービスを広げています。
みんな、専門のカストディアンを使い、慎重な担保評価をする、という点は共通しています。これはもう、一時のブームではなく、金融の大きな流れになっている証拠です。
私たちの「信用」も変わる?
今のところは大きな会社向けの話ですが、この流れは少しずつ私たちにも関係してくるかもしれません。
アメリカではすでに、住宅ローンを組むときの審査で、その人が持っている暗号資産を「資産」としてカウントしよう、という動きが出ています。
もちろん、そのためには、その暗号資産や関連するローンが、ちゃんと公的な金融システムに記録される必要がありますが、可能性は広がっています。
これまで「信用」とは、主に収入や持っている不動産、あるいは過去の借入履歴で決まっていました。でもこれからは、デジタルな資産をどれだけ持っているか、それをどう活用しているかも、「信用」を測る新しいモノサシの一つになっていくのかもしれません。
JPモルガンの今回の実験は、そんな未来に向けた大きな一歩のように見えます。