「速いけど不安」と「透明だけど遅い」ハイパーリキッドがこの”二択”を終わらせる?


中央集権型(CEX)の取引所は速いけれど、運営が不透明だったり、ハッキングのリスクが気になります。かといって分散型(DEX)は、透明性は高いものの、処理が遅くて手数料もかさむ。


この「あちらを立てればこちらが立たず」な状況が、ずっと続いていました。でも最近、「ハイパーリキッド(Hyperliquid)」という仕組みが、この前提を変えつつあるようです。


デリバティブ(金融派生商品)の取引では、コンマ数秒の速さが求められます。ブロックチェーン上で全てを処理する従来のDEXでは、この速度についていくのが難しかったんですね。


多くの人が、透明性やセキュリティを求めつつも、利便性のためにCEXを選ばざるを得なかったわけです。ハイパーリキッドは、このジレンマを技術で解決しようとしています。


「速さ」と「透明性」を両立させた仕組み


ハイパーリキッドは、他のサービスと道を共有せず、自分専用の「高速道路」を作ったイメージです。これが、アービトラム・オービット(Arbitrum Orbit)という技術を使った、独自のレイヤー1・アプリチェーンと呼ばれるものです。


この専用のブロックチェーンを使うことで、取引の処理がミリ秒(1000分の1秒)単位で完了します。中央集権型の取引所と比べても、ほとんど差を感じないレベルです。


しかも、ガス代(手数料)がかからないように設計されているため、取引コストを気にする必要もありません。


もちろん、速いだけではありません。 注文、マッチング、決済といった取引のすべてのプロセスが、ブロックチェーン上に記録されます。一部の処理を外部(オフチェーン)で行う他のDEXとは違い、すべてが公開されているので信頼性がとても高いです。


清算のプロセスさえも透明化されており、CEXで時折問題になる不透明なデータ操作の心配もありません。


市場シェアの変化とこれからの可能性


この技術のおかげで、ハイパーリキッドは急速に成長しました。一時期は、オンチェーン(ブロックチェーン上)のデリバティブ市場で7割以上のシェアを占めるほどでした。


もちろん、最近は新しい競合サービスも登場し、市場シェアは38%程度に落ち着いています。 ただ、これはハイパーリキッド一強だった市場が、健全な競争の段階に入ったとも言えます。市場全体が拡大している証拠です。


さらに、誰でも自由にデリバティブ市場を作れる機能(HIP-3)も加わり、株や為替といった伝統的な資産をベースにした市場が生まれる可能性も出てきました。


CEXとDEXの「いいとこ取り」を目指す動きは、これから金融の世界をどう変えていくのでしょうか。


未来の金融インフラは、私たちが慣れ親しんだ形とは全く違うものになるかもしれません。今のうちに、こうした新しい金融の形に少し触れておくのもいい経験になりそうです。


Disclaimer: 本記事は情報提供を目的としており、投資・税務・法律・会計上の助言を行うものではありません。記載内容の正確性や完全性を保証するものではなく、将来の成果を示唆するものでもありません。暗号資産への投資は価格変動が大きく、高いリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。


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