あれ、これって思っていたのと違うな、というのが初めて「Boox Palma 2 Pro」を手にした時の率直な感想でした。高性能なスマートフォンと見間違えるサイズなのに、画面はモノクロのE Inkディスプレイです。読書端末なのに最新のAndroid 15が動くという、中途半端に思えるその仕様こそが、結果的に私のデジタル生活を劇的に変えてくれました。
なぜ普通のスマホを手放せなかったのか
スマートフォンを遠ざけたいと思っても、誰もがそう簡単にはできません。それは、地図アプリ、二段階認証、銀行アプリなど、生活に不可欠な「必要悪」の機能があるからです。しかし、これらのアプリを開いた瞬間に、ついついSNSやニュースフィードに引きずり込まれてしまい、気が付けば時間が溶けています。これは、アプリの通知や鮮やかな色彩が衝動的なドーパミンループを刺激するように設計されているからです。
地味なE Inkが衝動的な利用を抑える
Boox Palma 2 Proが優れている点は、「摩擦」を生み出すことにあります。このデバイスは、6.13インチの画面でデータ通信専用SIMに対応し、Androidアプリも使えます。つまり、最低限のライフライン(メッセージ、地図、認証)は維持できるのです。しかし、E Ink画面では動画は不鮮明で、フィードの高速スクロールはカクカクしてストレスを感じます。
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視覚的な刺激の排除: 画面が白黒またはグレーが基調のため、脳が色彩に誘惑されることがありません。
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物理的な遅延の発生: E Ink特有の画面リフレッシュの瞬間にわずかな遅延があり、これが「無目的な利用」にブレーキをかけます。
この「使いたくなくなる」設計が、スマホ依存症に対する強力なカウンター戦略になります。
意図的に「地味なデバイス」として使う
私はPalma 2 Proを「テキストと生産性専用機」として運用することにしました。
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インストールアプリの制限: ソーシャルメディア、ゲーム、動画配信アプリは一切入れません。
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許可するアプリ: 電子書籍リーダー、メモアプリ(Obsidianなど)、カレンダー、そして地図アプリと二段階認証アプリのみ。
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情報収集の調整: ニュースや記事は、RSSリーダーを通して定期的にチェックする形式に変更しました。これにより、受動的な消費から能動的な情報収集へと行動が変わりました。
この切り替えだけで、デジタルデバイスに触れる時間が大幅に減り、本当に集中したい読書や執筆に時間を使えるようになりました。また、E Inkは電力消費が少ないため、数日間充電しなくても使える点も気に入っています。Palma 2 Proは、私たちの注意力を奪う現代のテック社会へのアンチテーゼとして機能していると感じます。
こんな感じで、今はけっこう気に入ってるよ。もし、このデバイスでの具体的なアプリ設定方法に興味があれば、また聞いてくださいね。