トークン化株式がたった1ヶ月で220%も急騰しました。でも実際にブロックチェーン上で取引している人はほとんどいません。バイナンスみたいな中央集権型取引所(CEX)での取引が70倍も活発なんです。これが今の暗号資産市場が見せている最大の矛盾です。
伝統的な株式の皮だけブロックチェーンに載せた結果
トークン化株式って、テスラやアップルの実際の株式をブロックチェーントークンにしたものなんです。1ドルあればアップル株の一部が買えて、24時間いつでも取引できます。それで時価総額が3.7億ドルまで跳ね上がりました。
問題は、これが本当に分散化なのか微妙なところです。証券法上は株式として分類されるので、アメリカのSECみたいな規制当局が厳格に管理しようとします。だからプラットフォームによってはアメリカ人を完全にブロックして、海外投資家だけを受け入れるケースも多いです。
面白いのは、この規制のせいでかえってチャンスが生まれていることです。規制が明確な地域では安全に投資できる一方、規制がない場所では革新的なサービスがどんどん出てきています。つまり規制のギャップが市場を育てるという逆説的な状況が起きているんです。
オンチェーンは遅くて高いから誰も使わない
バイナンスやバイビットみたいな中央集権型取引所が抜け道を使い始めました。正式な上場は規制のせいでできないから、「ByReal」や「バイナンスアルファ」みたいな独自のオンチェーンプラットフォームを作って迂回しているんです。
正直、一般投資家にとってはこっちの方がずっと便利です。ウォレット作って、ガス代計算して、ブリッジ使うという複雑なプロセスなしに、アプリで数回クリックするだけで終わりますから。しかもCEXはすでに流動性も豊富で取引速度も速いです。
オンチェーンの取引所(DEX)はまだユーザーが少なくて取引量も少ないし、イーサリアムネットワークが混雑するとガス代が急騰する問題もあります。結局、ブロックチェーンの理想は高いけど、現実は中央集権型取引所の方が実用的というわけです。
ハイブリッド金融という言葉が出てくるのもここに理由があります。オンチェーンの革新性と中央集権の利便性を混ぜて、両方を狙おうとしているんです。DeFiプロトコルと連携して、株式を担保に融資を受けたり、流動性供給で追加収益を作ることもできます。
規制が確定すれば本当に局面が変わる
2025年が転換点になると多くの専門家が予測しています。各国がトークン化証券の法的定義を明確にして、オンチェーン取引にも伝統的な証券法を同じように適用しようとする動きが見えています。
アメリカのIRSはすでに暗号資産取引の申告を義務化しようと準備中です。規制が確定すれば大手金融機関も本格的に参入するでしょうし、その時はオンチェーンインフラももっと改善されるはずです。
今は過渡期です。伝統的な金融とブロックチェーンがぎこちなく混ざっている時期です。でもこんな混乱の中から新しい金融の形が生まれています。トークン化株式の220%成長はまだ始まりに過ぎません。本当の変化は規制と技術が出会う地点で起きるでしょう。